- 2016-3-9
- Wines, イタリア Italy, その他 Others
「日伊国交樹立150周年記念」として、上野の国立西洋美術館で「カラヴァッジョ展」が開催されている。会期は3月1日(火)から6月12日(日)と3か月以上に亘り、春休みやGWも開催中のため絵画ファンには嬉しいところ。会場では、カラヴァッジョの作品がラベルを飾る「カラヴァッジョワイン」が販売されるというから、ワイン&アート好きにはますます楽しい。
実は、単にこの展覧会にあわせて特別なラベルを作ったのではないか、とも考えたのだが、そうではなかった。実際にマルタ島のワイナリー「マルソヴィン」が造っている「カラヴァッジョワイン」のシリーズから一部が輸入されたのだ。
マルタ島は、イタリア半島のつま先で蹴り出したかのようなシチリア島のすぐ南にある小さな島だ。小さいけれどマルタ共和国、ひとつの独立した国家なのだ。1919年に前身が創立され1956年から「マルソヴィン」としてワイン造りを行っている。マルタ島と更に小さなゴゾ島の両方の葡萄を用い、そのラインナップはテーブルワインから上級品、そしてスパークリングワインにまで及ぶ。自社畑の他に125haの契約畑があるというから、おそらくマルタ島きってのワイナリーなのではないだろうか。
なぜマルタ島なのかといえば、カラヴァッジョの傑作がマルタ島にあるからだ。ローマ滞在中に喧嘩の末に殺人を犯した罪を逃れようと、カラヴァッジョはマルタ島まで辿り着いた。その時に聖ヨハネ大聖堂(サン・ジョヴァンニ大聖堂/サン・ジュワン大聖堂)にて大作「洗礼者聖ヨハネの斬首」を描き、教皇から免罪されたという。しかしその後にも決闘をしたという記録があるようだから、激しい気性だったのかもしれない。いや、だからこそ息をのむような作品を幾つも残す激情を宿していたのかもしれない。
38歳という短い生涯でありながら、明暗のコントラスト、リアリズム、構図の独創性などで注目を浴び、更にルーベンスやレンブラントなど17世紀の多くの画家たちに影響を与えたミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571—1610年)の傑作11点と、カラヴァジェスキと呼ばれる次世代の作品の展示は相当見応えがありそうだ。
カラヴァッジョ展の会期中にだけ販売される「カラヴァッジョ ワイン」は赤白併せて4種類ある。
「カラヴァッジョ カベルネ・ソーヴィニヨン」には「バッカス」のラベル
「カラヴァッジョ メルロ」には「洗礼者聖ヨハネの斬首」
「カラヴァッジョ シャルドネ」には「エジプト逃避途上の休息」
「カラヴァッジョ シュナン・ブラン」には「いかさま師」
いずれもD.O.K. マルタ・スペリオールのカテゴリーにある。D.O.K.というのはイタリアでいえばD.O.C.に等しい、マルタの原産地呼称だ(Denominazzjoni ta’ Origini Kontrollata)。
ワイン好きにはワインと最も関わりの深い「バッカス」が一番人気になるような気がする。この作品は今回展示もされているというから間違いないだろう。
メルロのラベルは、マルタ島に行かなければ見られない「洗礼者聖ヨハネの斬首」だ。ヘロディアの娘として知られるサロメが、その首を求めて斬首されたという場面で生々しくはあるが、カラヴァッジョ・ファンには見逃せない。(Y. Nagoshi)
*読者プレゼント*
抽選により5組10名の方へ「カラヴァッジョ展」観賞チケットを! ご希望の方は、contact フォームより「ご氏名/送付先住所」を「3月27日までに」お送りください。
たくさんのご応募ありがとうございました。当選された方々にはチケットの発送を持ちましてお知らせいたします(3/31記)。
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