「ダラ・ヴァレ」と「オルネッライア」のコラボレーション “DVO” 2018

ファッション界ではフェンディとヴェルサーチェがコラボレーションしたコレクションFENDACE(フェンダーチェ)が話題になったが、ワイン界でも大物同士のコラボレーションが始動していた。ナパ・ヴァレーの「ダラ・ヴァレ」。ボルゲリの「オルネッライア」。この2社がタッグを組んで赤ワインを造った。名前は ”DVO”。

 

”DVO” プロジェクトは2015年から始まっていたと言う。

オルネッライアの醸造責任者アクセル・ハインツは、オークヴィルで開催されるカベルネ・ソーヴィニヨンのシンポジウムによく参加していた。また、ナオコ・ダラ・ヴァレの娘マヤは、アクセル・ハインツが卒業したボルドー・サイエンス・アグロで修士号を取得している。修士を取るためのメンターがアクセル・ハインツで、2013年にインターンシップでオルネッライアにて研修も受けている。そして修士論文のために研究した内容が、今回のプロジェクトの下地になったのだった。

一方で、オルネッライアのオーナーであるジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤも、いずれナパ・ヴァレーでワインを造りたいと考えていたと言う。単独で海外から参入するよりも、地元にルーツをもつ専門家とコラボレーションする方が良いと思っていた。長年交友関係にあるダラ・ヴァレ母娘とは同じ価値観をシェアできると、プロジェクトを承諾。そして、マヤの母、ナオコ・ダラ・ヴァレも快諾した。

 

ナパ・ヴァレーのワインでありながら、イタリアンテイストも加わった複雑性のある赤ワイン。これが目指す姿だったと言う。そのために、ブドウの供給先をどこに選定するのかが肝となった。まず、オークヴィルはボディを与えてくれる。そして、より冷涼な産地で収穫が遅く、アロマ豊かでタイトなボディ、テンション、フィネスや厳格さを備えるブドウを産む産地を探した。マウント・ヴィーダーとクームズヴィルが候補に挙がった。ブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン主体でカベルネ・フランをブレンドした(2018年は前者が86%、後者が14%)。しかし、ヴィンテージにより調整可能なように、ラベルには「カベルネ・ソーヴィニヨン」とは記さず「カリフォルニア・レッド・ワイン」と表示することにした。

 

2017年はトライアルの年でリリースせず、2018年が初ヴィンテージとなった。この年は、「暑すぎず収穫も遅めで、豊かさがありながらヨーロッパ的な控え目な要素もあり、理想のワインにとても近い」と言う。2017年から2021年の中で成長期が最も長く、ゆっくりと成熟し収穫日を正確に決められた。

契約栽培畑は8か所に分かれており、オークヴィルが5か所で50%を占める。そして、マウント・ヴィーダーが2か所で40%、クームズヴィルは1か所で10%。

「ナパ・ヴァレーで育ったのでオークヴィルはよく知っていますが、他のAVAのことはそこまで知らなかったため、気候や土壌について詳しく分析しました。新しい時代へ向けて新たなブランドを生むには、というテーマで書いた論文を実現することができました。ダラ・ヴァレは、しっかりと抽出していますし、熟した果実のまろやかさや豊かさがはっきりとしています。一方でDVOは、低温発酵で優しく抽出し、リニアでエレガントで、直線的でかっちりとした味わい。タンニンのプロファイルも異なります」と、マヤ。

「ナパのワインは、ダークフルーツの香りがしてリッチでパワフルです。トスカーナのワインは、より酸が高く地中海のハーブが香り深みがありセイボリー。DVOは、確実にナパのワインだとわかりますが、フィネスや奥ゆかしさを求める人が造ったワインだとわかるはずです」と、アクセル。

ふたりがコメントしたように、香りからも少しタイトで涼しげな要素が感じられ、エレガントで緻密な味わいと、滑らかなテクスチャーやタンニンの細やかさが印象に残った。わずか400ケースだけの生産で、主にアメリカ本国にてメーリングリストやトップクラスのレストランやブティックで販売されている。日本ではJaluxが直輸入しているが入荷は極少量のようだ。運よく出会えたら、この世界的なコラボレーションを味わってみてはいかがだろうか。(Y. Nagoshi)

輸入元:JALUX

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