弊誌がオーガニックワインブランドの日本市場での販売量調査を始めてから、
「コノスル」は3年連続第1位を維持している。
その訳を探るべく、輸入元のスマイル、そして取扱店のひとつカーニバル三鷹コラル店に聞いた。
コノスルとオーガニック
チリワインの代表的なブランドのひとつである「コノスル」は、チリの中でも異色な存在であるとの印象が強い。それは、彼らのモットー“no family trees, no dusty bottles, just quality wine”が示す、新たな挑戦へ踏み込むことを恐れないある種の反骨精神の表れかもしれない。
日本で「コノスルオーガニック」の販売を始めたのは2004年11月だが、オーガニックブランドの開発について話し始めたのは1993年からだと言う。そして、提案をしたのは輸入元のスマイル側からだった。チリワインもオーガニックワインもメジャーではない時代のことだ。
「ブドウ栽培はオーガニックに近い状態だったこともあり、『今後チリワインを売り出していくには、オーガニックが魅力になるのではないか』と、菅(前執行役員の菅宣雄氏)から提案しました」と、酒類営業本部本部長の松本浩通氏。その頃は、欧州系のオーガニックが少し入り始めていたが、有機マークはあってもおいしいと思えるワインは少なかったようだ。だから、販売開始してしばらくはオーガニックとはうたわなかった。
「正直、初めは難しいのでは、と思っていました。しかし、『味と価格のバランスが良い』と、すぐに手応えが得られました。そして後でオーガニックだと気がついてもらい、順調に販売が伸びました」と、ブランド担当の杉村悠二郎氏は言う。日本での成功事例を見て、コノスルは他国にもオーガニックを勧めていき、いつの間にか「コノスル」は「オーガニック」の印象が強いブランドになった。今やコノスル専用のオーガニック畑は340haとなり、全体の20%を占める。
自転車のアイコンとラインナップ
「自転車のアイコンも大きな役割を果たしました。ラベルを読めなくても『自転車のワインある?』とリピートが相次ぎました」と、営業部長の野村一博氏。はじめは「カベルネ・ソーヴィニヨン&カルメネール(今はシラーもブレンド)」だけだったが、2007年に(当時は「コンバージョン」ラベル)「ピノ・ノワール」と「シャルドネ」が、その後「ソーヴィニヨン・ブラン」、さらに「マルベック」と「グランレゼルバカベルネ・ソーヴィニヨン」も仲間入りした。このラインナップの充実も「売りのひとつ」だと言うのは、長年コノスルを扱う輸入食品とワインの専門店を展開する「カーニバル」の三鷹コラル店店長の高橋潤一郎氏だ。
「他のオーガニックブランドは赤と白、あるいはロゼも加わるぐらいですが、コノスルは品種別に揃っているのが強いですね。例えば、いつもはビシクレタのシャルドネを買う方がオーガニックのシャルドネに手を伸ばす例もあります。定期的にオーガニックのピノ・ノワールをケースで購入する方も。オーガニックは全般的に口当たりが優しいので、日本の日常の食卓にも合わせやすいのでしょう」。食品や飲料へ対する消費者意識が高まる中、味わいとコストパフォーマンスの良さ、品揃えの充実などが手伝って、安心なブランドとして確立したに違いない。
続きは、WANDS 9月号
【特集】オーガニックワイン2022 さらなる旨さを求めて こだわりのビールで活性化へ
をご覧ください。
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