【WANDS BUYER’S GUIDE】オーストラリア&ニュージーランドのクールクライメイト・シラー

今回はメインテイスターの井黒卓ソムリエの提案で、オーストラリアとニュージーランドのクールクライメイト・シラーを俎上に載せた。テイスティングのポイントは冷涼感のある酸とテンション、そして重苦しくないこと。蓋を開けてみると総じて品質が高く、現代の嗜好にマッチしたカテゴリーであることが証明された。ワインショップでもレストランでも、ぜひ取り扱っていただきたいアイテムばかりだ。

構成:柳 忠之

柳忠之(以下、柳):今回は井黒さんの提案で、オーストラリアとニュージーランドのクールクライメイト・シラー、つまり冷涼エリアのシラーをテーマとしました。このテーマを井黒さんが選んだ理由は?
井黒卓(以下、井):はい、ピノ・ノワールは世界各地で栽培されるようになり、今、大いに注目されていますし、実際に商品が動いている印象を受けます。ところが、クールクライメイトのシラーはポテンシャルがあるにもかかわらず、あまり話題になりません。従来の温暖産地のシラーズとは確実に違い、旧世界の模倣でもない。そのような新たなスタイルのシラーは僕の理想とするところで、一度、体系的にテイスティングしてみなくてはと思いました。
名越康子(以下、名):そうですね。ローヌのシラー以外だと、これまではバロッサの“シラーズ”でしたが、ここに来て選択肢が増えてきました。柳:新世界でクールクライメイトのシラーが増えてきたのは、いったい何がきっかけだったのでしょう?名:正確なことはわかりませんが、私が記憶してるのはトルブレック。まだデイヴィッド・パウエルがオーナーの時代に涼しい年があって、コショウ、つまりロタンドンの香りがする、重くないシラーズが偶然バロッサでもできました。彼はそのスタイルが気に入って、以後は過熟となる前にブドウを摘み取り、従来のヘビーなスタイルからエレガントなワインへ方向転換したそうです。柳:へ~、そんなことが……。

 

続きは、WANDS 7-8月号
【特集】北アメリカワイン 太平洋寒流の恵み コーストラインを俯瞰する
【特集】ボタニカル際立つ多種多彩、世界のスピリッツ
【特集】スパークリングワイン 最新情報&市場動向
をご覧ください。
ウォンズのご購読・ご購入はこちらから

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る