ルーマニアの酒類大手アレクサンドリオン・グループ、ジャパニーズウイスキー蒸留所への投資に意欲

ルーマニアのスピリッツ・ワイン大手、アレクサンドリオン・グループは10月27日、ウイスキー製造を含む日本での事業構想推進と自社ブランド製品のプロモーションを目的に、メディア向けのビジネス・レセプションを都内で開いた。

アレクサンドリオン・グループは1789年にルーマニア北東部ブコヴィナで創業の酒類工場SABの歴史と伝統を受け継ぐ、南東ヨーロッパ最大級の生産設備を誇る蒸留酒とワインのトップ生産・販売業者。
ギリシャでブランデー製造をはじめ、ルーマニアへの輸出で成功したグループ創設者兼会長のナワフ・サラメ博士(写真1枚目)が、2000年に拠点をルーマニアに移して成長をさらに加速。2018年にはワイン事業の大型買収で同国トップクラスのワイン生産者となったほか、米国市場に1億ドル規模の投資を行い、米ニューヨーク州カーメルにウイスキー蒸留所を新設するなど、事業をさらに拡大させている。北米をアメリカ、南米をブラジル、インド・中東・アフリカをドバイ・UAE、欧州41か国を英国の事業拠点が担当するグローバルネットワークを構築しており、今度は日本における新たな挑戦を模索している。

ナワフ・サラメ博士は「ここ数年でアレクサンドリオン・グループは驚くべき成長を遂げてきた。我々の製品は世界中で愛され、日本での反応も好意的だった。このような背景から、次の一歩を踏み出すのが自然な流れと感じた。2024年前半には、日本の消費者が私たちのような質の高いスピリッツやワインを高く評価することを背景に、配分会社を設立する予定だ。日本国内での生産に関しても、新たな蒸溜所を建設するか、合弁事業を通じての取組みか、既存の蒸留所を購入するかという3つの方向性で、JETROを通じて具体的な形で模索を進めている」、「我々の持つ国際ネットワークの市場のなかで、特に日本のウイスキーへの需要はとても高く、ポートフォリオに日本のシングルモルトを取り入れたい。インターナショナル化し世界で販売するため、マーケティングや宣伝活動も行っていく。将来的には世界各地の蒸留所での製造を目指している。まずは日本のウイスキーと我々の『カーパシアン』ルーマニアウイスキーのリンクにより、サプライズをもたらしたい」と話した。

同社の主力商品は「ブランコヴェアヌ」ヴィナルス(ルーマニアブランデー)や「アレクサンドリオン」ブランデー、「セイバー・エリジア」リキュール、ツイカやホリンカ、パリンカなどのフルーツスピリッツ、ジン、ウオッカ、ラムなど50種類超。さらに2018年からはウイスキーやワインにも力を入れている。

 ウイスキー・ディレクター兼「カーパシアン」シングルモルト蒸留専門家のアラン・アンダーソン氏(写真3枚目)は、ロッホローモンド、ホワイトマッカイ、グレートノーザンの各蒸留所での生産マネージャーや、アイルランドのスレーン蒸留所のデザイン・コンサルタントを経験。キーパー・オブ・ザ・クエイヒに任命された2016年に知人を介してサラメ博士と出会い、翌年からアレクサンドリオン・セイバー1789蒸留所をはじめとする同グループのウイスキー・ディレクターを務める。
ルーマニア初のシングルモルトウイスキーの特徴について「スコットランドとアイルランドでの30年以上にわたるウイスキーづくりの経験と、ルーマニア産100%のモルト、カルパチア山脈から流れ出る水、素晴らしいワイン樽をはじめとする様々な樽の組み合わせにより、蒸留所のテロワールを完璧に表現している。またスコットランドより平均5℃高い温暖な気候での熟成が、ユニークでマイルドな特徴を生み出す。ハイランドモルトのようなイメージ」という。
今回は、アメリカ産ホワイトオークのケンタッキーバーボンバレルで熟成後、自社ワイナリーで製造されたルーマニアのフェテアスカ・ネアグラ種のワインを熟成せたヨーロピアンオークの赤ワインカスクで追熟した「カーパシアン フェテアスカ・ネアグラ」、バーボン樽で熟成後、285ℓのフレンチコニャック樽で追熟し、ノンチルフィルタードで、深いゴールドの色合いとバニラやハチミツの風味が特徴の「同 コニャック」、軽くピート燻製しバーボン樽で4年熟成させ、フェノール値35ppmのスモーキーさと良質なウイスキー特有の甘さが両立した「同 ピーテッド」を紹介。

ワイン事業は2018年に英ヘイルウッドW&S傘下のルーマニアワイナリーを買収。アイコニック・エステートに名称を変更し、同国最古のワイナリーや最大級のセラー、年360万ℓ、500万本のワインを生産する。
会場ではスパークリングワイン「ライン・エクストラ」、スティルワイン「ハイペリオン」や「コンサート プレステージ ロゼ」などを紹介した。

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