コノスルのサステナビリティを集約した「グリーン・ソサエティ」

チリの大手ブランド、コノスルは1993年に設立されたが、当初から環境と地域社会に配慮したワイン造りを実践し、B-Corpなど環境に関する6つの認証を取得している。
2024年2月1日、輸入元のスマイルからコノスルの新ラインが発売された。「グリーン・ソサエティ」で、サステナビリティ(持続可能なワイン造り)にフォーカスしたラインだ。
チリのサステナブル・ワイン産業を牽引する企業として、コノスルが環境保護のために取り組んでいることを、アジア地域ダイレクターのマニュエル・エブラール氏と、マーケティング担当のマカレナ・バルガス氏が解説した。

アジア地域ダイレクターのマニュエル・エブラール氏(左)と、マーケティング担当のマカレナ・バルガス氏。

昨今、世界中のワイナリーがサステナビリティに注力している。その一方で、気候変動は刻一刻と進み、私たちの暮らしに目に見えて大きな影響を及ぼすようになっている。エブラール氏は「世界のワイン産業が、温室効果ガスの排出の0.3%を占めている。最大の原因は化石燃料の使用。この使用をやめることが重要だ」と話す。とくに畑に撒かれる化学肥料は石油由来のものが多い。コノスルでは、ブドウの搾りかすを肥料に使用し、害虫駆除にはガチョウを使うなど、自然を味方にする畑づくりを促進している。
一方では、世界の多くのワイン産地が水不足に直面している。節水も重大な課題だ。コノスルでは2015年以降、セラーでの27%の節水に成功した。栽培の現場においては、灌漑、気候のモニタリング、カヴァークロップの栽培による保水などの研究を進めている。たとえば灌漑については、水を撒く時間と量によって、ブドウのタンニンの発達が変化し、味にも影響する。それを考慮しながら、限られた水で済ませられるよう努めている。エネルギー使用では、2022年からワイナリーの屋根に太陽光発電を設置するなど、設備改革にも取り組んでいる。

取り組みには頼もしい研究陣が控えている。コノスルはチリの最大手コンチャ・イ・トロのグループ傘下にあるが、そのコンチャ・イ・トロには、ラテンアメリカで唯一の研究イノベーションセンターがある。そこではクローンや台木の研究など、未来のためのワイン造りを実装するための高度な研究が日々行われている。
例えば、今コノスルで試験的に活用を進めているのが、トルラスポラ(Torula-Spora)という非サッカロミセス酵母だ。収穫したブドウをワイナリーまで運搬するまでの間でこの酵母を働かせることで、他の酵母の活動を阻止する。すると酸化防止の効果が得られ、かつ醸造には影響しない。亜硫酸の代替として注目しているという。

「グリーン・ソサエティ」は、生物多様性の保護も指針としている言葉だ。コノスルではブドウ畑に36.4haの野生動物の保護地区を設けている。土地固有の昆虫、鳥類、哺乳類など各種の生態系(生物の回廊)の保護と発展こそ、今までの、そして今後もコノスルの目指すところだ。「グリーン・ソサエティ」のエチケットでは、鳥、キツネ、ガチョウなどのその土地の動物と、圧搾器の車輪、土壌の豊さの象徴的である木が描かれ、調和のとれた自然界で生きるワイン産業を示している。

「グリーン・ソサエティ」のワインは、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネールの5種。日本語の特設サイト https://greensocietywines.com/ja/から、畑に生きる動植物の姿も見ることができる。

ソーヴィニヨン・ブラン 2021
産地は冷涼なカサブランカ・ヴァレー。8〜10時間の低温浸漬で香りを引き出す。香りがまっすぐ立ち上がり、フレッシュな柑橘の味。やや塩味を感じ、産地の個性が表れている。
シャルドネ 2022
産地はカサブランカ・ヴァレー。10%はフレンチオーク樽で熟成。オレンジの花の香りと、なめらかに広がる酸が心地よい。
ピノ・ノワール 2021
産地はサンアントニオ・ヴァレー。70%はフレンチオークの古樽で熟成。ブラックチェリーと、ほのかにスモーキーな樽由来の香り。タンニンは緻密。
カベルネ・ソーヴィニヨン 2021
産地はアコンカグア・ヴァレーで、フレンチオーク樽で12か月熟成。夜は非常に冷える産地で、ブドウの皮が厚くなる。凝縮感があり、かつフレッシュ。残糖度は12g/ℓで、親しみやすい味わい。
カルメネール 2021
産地はカチャポアル・ヴァレー。4月後半に収穫し、フレッシュな酸を得る。熟成はステンレススチールで12か月。
みずみずしく、クリーンで、ブラックベリーやチョコなどの力強い果実味。

(N. Miyata)

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