この夏に彩りを添えるスパークリングワインのロゼ5種

日本の蒸し暑い夏をできるだけ快適に過ごすには、と毎年頭を悩ませる。ここ数年、日本でも「夏はロゼワイン!」のトレンドがようやくやってきたように感じている。そこにスパークリングワインのロゼが加わると、さらに優雅さが増すのではないだろうか?

今回、フランス各地で造られた5種類のスパークリングワインロゼを比較してみた。生産者の違いはもちろんだが、ジュラ、ブルゴーニュ、アルザス、シャンパーニュといった地域性、ブドウ品種によっても個性が異なるため、使い勝手が様々でとても面白いと思う。

 

<ジュラ地方の在来品種、トルソー100%のロゼ>

クレマン デュ ジュラ ロゼ ブリュット<グラン Grand>

 

今回の5種類の中で、唯一ピノ・ノワールを使用していないのが、このジュラ地方のクレマン。17世紀末からワインを造る家族経営の生産者グランは、2018年からオーガニック栽培に転換していて、クレマンにも定評がある。

はっきりとしたサーモンピンク色で、香りは野イチゴやグミなど、野生の小さな赤い果実を思わせる香りが主体でフルーティー。チャーミングな味わいで、ほんのりとした果実の甘みとフレッシュな酸がバランスよく、口中でも野に咲く花や果実の香りが広がり、ほのかな渋みが味わいを引き締める。おつまみに、ベリー系のソースを添えたくなる鴨肉の燻製やパテ・ド・カンパーニュ、サラミなどを思い浮かべた。ウナギや焼き鳥、サーモンの照り焼きなども良さそうに思う。

 

 

<シャサーニュの名門が造る上品なピノ・ノワールのロゼ>

クレマン ド ブルゴーニュ エクストラ ブリュット ロゼNV <アミオ ギイ エ フィスAmiot Guy et Fils >

モンラッシェやドゥモワゼルにも畑を所有するアミオ家は、現在4代目が引き継いでいる。このロゼはピノ・ノワールだけで、ブドウはシャサーニュ・モンラッシェとその周辺で収穫されたものを使用している。瓶内熟成は16〜18か月。

淡いサーモンピンク色で、ベリー類や白桃を思わせるフレッシュで上品な香り。エクストラ・ブリュットなので香りはいくぶん控えめに感じられる(通常、残糖分が高い方が香り華やか)。しなやかなアタックで、フレッシュな酸が心地よい繊細な味わい。しっとりとしたテクスチャーで泡も細やか。泡が穏やかなので、泡ものが苦手な人でも抵抗なく飲めそう。エビを使ったサラダ、海老や野菜の天ぷら、生春巻きなど、野菜類と共に食べる軽快な料理と相性が良さそうだ。

 

 

<シャブリに近いエピヌイユのピノ・ノワール>

クレマン ド ブルゴーニュ ブリュット ロゼ2017<ドミニク グリュイエ Dominique Gruhier>

グリュイエが拠点とするエピヌイユ村は、シャブリから20kmほどの場所にある。土壌もシャブリ同様のキンメリジャン。1993年にAOCの認定を受けたブルゴーニュ・エピヌイユは、あまり知られていないが赤(ピノ・ノワール)とロゼ(ピノ・ノワールとピノ・グリ)を生む小さな産地だ。ちなみに、この村から造られる白はブルゴーニュ・トネール AOC(シャルドネ)となり、クレマンはクレマンドブルゴーニュに包括される。そして、この地の注目株がドミニク・グリュイエ。ブルゴーニュのエキスパートとして知られるベッキー・バッサマンが、赤ワインについて「これほど生き生きしてチョーキーで、セクシーなブルゴーニュのピノは珍しい」とベタ褒めしているほど。

さて、このクレマンはステンレスタンクで9か月、瓶内で24か月熟成させている。

綺麗なサーモンピンク色。華やかな香りで、熟したベリー類や桃。甘い果実の香りは少しコンポートに近いニュアンス。丸みがあるアタックで全体にふくよか。なめらかでクリーミーな食感で、うま苦味やエネルギーが感じられる。クレマンもセクシーだ。よりリッチな食材と合わせたくなる味わいで、トンカツやミラノ風カツレツ、牛しゃぶのサラダ。あるいは、ラタトュイユとローストビーフとパンドカンパーニュで、優雅なランチを過ごす、なんていうのもいい感じ。

 

<専用の畑から造るクレマンにも定評>

クレマン ダルザス ブリュット ロゼNV <ジョセフ グリュス エ フィスJoseph Gruss et Fils>

ジョセフ グリュスは、20世紀半ばから拠点とするアルザスのエギスハイム村で、4haの自社畑のブドウでワイン造りを始めた小さな生産者。今では4つの村に合計16ha(42区画)を所有するようになり、このうちの2.9haがクレマン専用の畑だ。栽培方法はサステイナブルで、自ら堆肥をつくり、有機的な方法やバイオダイナミックスの手法を取り入れるなど工夫している。

淡いサーモンピンク色で、華やかな香り。ベリー類や桃などのコンポートに加え、スパイスが感じられる。口中では、なめらかなアタックで果実のまろやかさ、クリーミーな泡立ちなどテクスチャーが綺麗。うま苦味もほんのり。幅広い料理に合いそうな包容力がある。BLTサンド。スモークサーモンを使ったレシピ。カツオのたたきやカルパッチョ的な前菜。色々試してみてほしい。

 

 

<シャルドネの名手による絶品のロゼ>

シャンパーニュ ブリュット ロゼNV <ドゥラモット Delamotte>

シャンパーニュ ドゥラモットと言えば、サロンとの姉妹関係ということもありどうしてもブラン・ド・ブランを注目しがちだ。もちろん、ブラン・ド・ブランの品質は間違いなく高い。しかし、実はロゼも秀逸なのだ。ドゥラモットでは、赤ワインのブレンドをしていない。いわゆるセニエ法ではあるものの、ピノ・ノワールとシャルドネを一緒に発酵させているという。とてもエレガントな仕上がりなので聞かないと気がつかないが、ピノ・ノワールが80%も占めている。モンターニュ・ド・ランス南東部の特級、アンボネイ、ブージー、トゥール・シュール・マルヌ村のピノ・ノワールに、メニル・シュール・オジェのシャルドネをブレンド。出自がわかるとさらに美味しさが増すかもしない。瓶内での熟成はおよそ24か月。

綺麗なサーモンピンクで、ベリー類などの赤い果実の他に、トーストやスパイスなど複雑性も感じられる香り。しなやかなアタックで、口中でラズベリーや少しドライにしたバラの花弁の香りが楽しめ、クリーミーなテクスチャー。フレッシュな酸とミネラル感がタイトなボディを形成するが、ほどよい骨格と筋肉がありとても魅力的に映る。清涼感ときめ細やかな泡、そして芯の強いバックボーンの関係が見事だ。合わせる食事も少し手の込んだものを選びたくなる。例えば、出汁の効いた海老しんじょう。海老を使った点心。長期熟成した生ハム。うま味がたっぷりあり、あまり調味料に頼らない一皿が良さそうだ。

(Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

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