唯一無二のアンデスブレンド セーニャ 2022年リリース開始

チリのアコンカグア・ヴァレーから生まれるウルトラ・プレミアムワイン「セーニャ」のストーリーは、1991年から始まった。そして具体的に進行したのは1995年から。エデュアルド・チャドウィック氏と故・ロバート・モンダヴィ氏がチリ中から探した理想の冷涼な産地が、アコンカグア・ヴァレーだった。

海から39km内陸に位置するこの場所は、アコンカグア川を通して海からの涼風が入り込むけれど、海岸山脈に囲まれているため直接の影響はない。そして標高200〜600mの丘陵地にブドウ畑は現在約42haある。ブドウの生育期の平均積算温度は1450℃でボルドーに近く、降雨があるのは5月から10月の冬の間。土壌は、標高が高い位置は火山性土壌、中腹は火山性土壌とレス、低い位置では河川に由来する堆積土壌。とても岩が多く、開墾が大変であったという。ブドウの植樹は1998年から開始。2005年からはバイオダイナミック農法へ移行し、2009年には認証も取得している。敷地内ではバイオダイナミックに必要な調合剤を自家製するための特別な部屋があったり、ハーブを栽培していたりもする。

「セーニャ」が、必ずチリのアイコン的存在であるカルメネールを使った、いわゆるボルドーブレンドながら、昨年行われた「セーニャ」のヴァーティカル・テイスティングでソムリエの岩田渉氏が2021年のコメントと共にこう語ったのが印象に残っている。

「……マルベックもカルメネールも使用した、他にはないアンデスブレンドがセーニャらしさで素晴らしい」。

さて、2022年のセーニャはいかに。

2022年の気候を確認してみると、過去平均(2011年からのデータ)よりも年間平均気温が1.8%低かった。しかし、2022年はブドウの成熟期の平均気温が16.4℃で、過去平均と同じ。また、冬の間の降水量が例年より少なかったことが2022年の大きな特徴と言えそうだ。アコンカグア渓谷の過去の平均降水量は219mmであるのに対し、2022年は75mmで65%も減少(ちなみに、2021年は冷涼だったことに加えて、冬の間に282mmの降水量があった)。そのため、房の重量が減少し最終的に収穫量が低くなり、凝縮感あるブドウが収穫された。

そしてブドウの収穫時期は平年通りで、3月中旬にマルベックから始まり、3月最終週から4月初旬にカベルネ・ソーヴィニヨン、3月最終日にプティ・ヴェルド、4月第2週にカルメネールで締めくくったとのこと。

試飲してみると、もちろんまだまだカッチリと硬い状態。黒い果実や花の香りがほんのりとロースティーでインキーな要素と相まって、黒曜石を想起させるような深みのある固く光沢のある黒のイメージ。口中ではしなやかなアタックで始まり、細く長くしっとりとしたテクスチャーが余韻まで続き、芯の強さが感じられ、焙煎コーヒーを思わせるほろ苦さも。何年か置いておきたいと思わせるが、今ならデキャンタ(ダブル・デキャンタ?)して、上質な赤身肉でもよし、味わいのしっかりとした魚介類でも楽しめそうです。

ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン60%、マルベック25%、カルメネール9%、プティ・ヴェルド6%、

アルコール度数:13.5%

熟成:18か月間、85%フレンチオークの小樽、15%フードル

(text by Y. Nagoshi)

チリワインの品質が正当に認められるために一石を投じた勇敢なる試み「ベルリン・テイスティング」20周年記念

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