新しい畑が増えて苗木が足りない日本のブドウ苗木事情

フランスワインの売行きは芳しくないが、日本ワインの人気は相変わらず高い。このワイン人気にあやかって新しくブドウ畑を拓く人が増え、ブドウの苗木不足という深刻な事態が生じている。

ブドウ苗生産販売の最大手、山梨の植原葡萄研究所は、

「私どもの苗木供給能力は年間2 ~ 3 万本です。ところがいま5 ~ 6 万本の注文が入

っています。今年と来年の生産分はすでに売約済みで、これから新しく入る注文に応えるのは2 年後になります」という。

 

苗木供給の逼迫状況をうけて、メルシャン、サントリーなどの大手生産者は、自社畑に台木の親木を植え、自ら接木をしてブドウ苗を作りはじめた。台木を育て接木苗を作る余裕のない生産者は、フィロキセラに襲われるリスクを承知の上で自根苗を植え始めているものもいると聞く。

 

植原葡萄研究所の植原宣紘所長

植原葡萄研究所の植原宣紘所長

苗木の需給バランスが大きく崩れたのはなぜだろうか。その理由を植原宣紘さんはこのようにみている。

日本の果樹種苗社は20 社以上ある。ブドウ苗に限ればその半分ほどだろうか。北海道にはないが、それ以外の果樹栽培県にはほぼ種苗家がいる。ところが平成不況で果樹産業はじり貧状態が続いている。かつて32,000ha あったブドウ畑は17,000ha(このうち醸造用ブドウは2,300ha と推計される)になった。昭和時代、ブドウ苗にも作れば作るだけ売れた時期があった。それが平成になって止まった。

平成元年以降、数次にわたるワインブームがあった。しかしワイン消費量は輸入ワインが主役になって増えてきたから日本の畑にブドウ苗を植える動きにはならなかった。(K.B.)

つづき(苗木の需給が逼迫している/昨今の人気品種はなにか/どんな台木が使われているのか)はウォンズ10月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

画像:接木したブドウの苗木

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