「城の平カベルネ・ソーヴィニヨン2012」ワイン・スペクテイターで90点を獲得

「日本でワインを造っていることを知っている外国人はほとんどいない」。

けれど、いちど飲んでもらえれば日本ワインの品質の良さを認めてくれる。

日本ワインの人気はうなぎのぼりで、各地にマイクロ・ワイナリーが続々誕生している。ブドウを新植する畑も増えているので苗木不足が深刻だ。しかし、これはあくまでも日本の国内事情であって、一歩外に出ると日本ワインを知る人は殆どいない。

 

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シャトー・メルシャン松尾弘則ゼネラルマネジャー

このほど、「シャトー・メルシャン 城の平カベルネ・ソーヴィニヨン2012」に、米国のワイン専門誌ワイン・スペクテイターが90点の評点を付けた。これは日本ワインでは最高の評点である。そして、「非常に骨格のしっかりした赤ワインで、ブラックチェリーやプラムの風味にリコリス、スモーキーな香りがあり、ミネラルの要素も感じられる。しっかりとしたタンニンとフレッシュな酸味のバランスがよく、最後にスパイシーさが感じられる。飲み頃は現在から2022年ごろまで」という試飲コメントを付けた。

 

シャトー・メルシャンはこれまでも、「マリコ・ヴィンヤード オムニス2009」(2013年)、「桔梗ヶ原メルロー2011」(2015年)がそれぞれ90点を獲得しており、今回が3度目の90点台獲得ということになる。ワイン・スペクテイターの評点は100点満点で、

100~95 Classic(偉大な、すばらしい)

94~90  Outstanding(傑出した)

89~85  Very Good(とてもよい)

84~80  Good(よい)

という内わけになっている。このことから明らかなように、ワイン・スペクテイターの90点を獲得したことは世界のトップワインの仲間入りを果たしたといってよい。

 

ちなみに90点以上を獲得したワインの生産者は、毎年秋にワイン・スペクテイターが主催する「ニューヨーク・ワイン・エクスペリエンス(=NYWE)」に招待される。NYWEは、各1,000名規模の様々なワインセミナーと2日間のグランド・テイスティングで構成され、催しものすべてに参加できる3日間の通し入場券の値段は30万円とも言われるプラチナペーパーだ。

 

今年は10月20日から開催された。シャトー・メルシャンのゼネラルマネジャー松尾弘則もシャトー・マルゴー、ロバート・モンダヴィ、コンチャ・イ・トロなど世界のトップワイナリー約250社とともに招待されてこれに参加した。グランド・テイスティングで松尾が試飲に供したのは2015年に90点を獲得した「桔梗ヶ原メルロー2011」である。

松尾は昨年もNYWEに参加している。シャトー・メルシャンの展示ブースに立ち寄って試飲をする人の最も多い疑問は、「このワインは日本のどこで造っているのか」と「どこで買えるのか」というもの。

 

前者について昨年は富士山や日本の中央部を引き合いに出して逐一説明した。しかし日本に土地鑑のない人にはなかなか分かってもらえない。そこで今年は予め長野県の3D地図を用意して説明に当たった。「土壌の特質やテロワールなど専門的な質問をする人にも地図を活用することで分かってもらえたのではないか」と松尾は言う。

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3D地図で日本のブドウ産地を説明する

 

一方、「どこで買えるのか」という問いには、はっきりと答えられない。シャトー・メルシャンは日本国内でも品薄なので、米国に販売するだけの量がないからだ。

「日本ワインの良さを国内市場だけでなく、もっと外国の人たちにも知らせたい。そのためには品質の良いものを造るだけでは不十分で、世界へ売るに足るだけの量をしっかり確保する必要がある」。

 

メルシャンは2027年までに60haの植栽を目指しており、現在は長野県塩尻市片丘地区に、約9haの圃場を開設中だ。「塩尻・片丘地区の作付けを着実に進めたいと思う」と、松尾はいう。この畑が生産樹齢に達し、さらに各地でも畑の拡大が進めば、品質の良さだけでなく、海外市場の需要にも応えられる量が確保でき、ようやく世界に胸を張って日本ワインの良さを伝えることができる、ということだろう。日本ワインが世界で広く認められる日が来るのも、そう遠い日ではなさそうだ。

画像:日本のワインに興味津々(NYWEで)

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