ブルゴーニュ2016年の作柄情報

2016 年初頭は暖かく1 月、2 月のコート・ドールの気温は1900 年の観測開始以来最も高かった。温暖な気候は降雨量の多さと結びついている。コート・ドールの1 月の降雨量は異常に多く、ボーヌは例年の2 倍近い降雨量を観測した。コート・シャロネーズとマコンも平年比50 ~ 70%多い雨だった。しかしヨンヌ県オセールはほぼ例年並みだった。冬の日照時間が大幅に不足し2 月はボーヌで平年比41%減、マコン33%減、オセール27%減となった。

 

3 月には平均気温が例年を大幅に下回り、ヨンヌ県(シャブリ、オセロワ)が寒かった。4 月、5 月も例年より寒かったが、3 月末に一時的に暖かくなったので4 月初めに発芽が始まり4 月半ばにほぼ出そろった。これが後の霜害を大きくした。春先も降雨量は多く、4 月はコート・ドール、コート・シャロネーズ、マコネに集中して降った。5 月はシャブリやオーセロワで平年の2 倍近い雨量を観測し、大幅な日照不足となった。

 

春の天候異変は様々な問題を引き起こした。

雹を伴った雷雨がマコネを襲い最初の被害をもたらしたのが4 月13 日。幸いマコネは4 月26 日夜から27 日明け方にかけての霜害は免れた。ブルゴーニュの葡萄畑は発芽していたので、4 月末の霜はオーセロワからコート・シャロネーズまで数1,000ha の葡萄畑に大きな被害をもたらした。被害が大きくなったのは、湿度ほぼ100%のところに冷たい風が吹いて一気に凍り付き、朝の陽光で溶ける際に霜害を一層大きなものにした。

 

5 月13 日に雹を伴った強烈な雷雨がヨンヌ県(シャブリ)を襲った。また、5 月27 日にはシャブリ、オーセロワ、マコネを雹が襲い被害をもたらした。これでブルゴーニュの2016年産収穫の潜在性が大きく減少した。

6 月21 日を境に天候は急激に好転し夏がきた。平年より開花は遅れたが、暑さが戻ったので6 月半ばに始まった開花はスピーディに進んだ。8 月の気温は平年よりやや高めで、全体に雨が少なく日照は多め。9 月はブルゴーニュ全体で気温が高く好天に恵まれた。これで成熟が促進され、9 月20 日頃に収穫が始まった。収穫はその後10 月末まで素晴らしい天候の下で続いた。

 

2016 年の特徴は中庸な天候が続かず、極端に寒かったり暑かったり、多量の雨が降ったり、干ばつになったり、著しい格差の目立つ天候だったこと。だからブルゴーニュの栽培家の力量が試される年になった。収穫葡萄の衛生状態は素晴らしかったが、霜害、雹害に遭った畑はほとんど収穫がなかった。一方で被害を免れた畑は申し分のない収穫を得ることができた。

 

白ワインはブルゴーニュの特徴が十分表現されていて白い果実のアロマが感じられる。熟成することでさらに豊かな味わいになるだろう。赤ワインは奥行きがあり濃い色合い。香りは少し閉じているが味わいはフレッシュで柔らかく十分な表現がある。バランスが良くエレガントで繊細だ。

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