スパークリングワイン需要本格回復未だし 輸入量は前年の裏返しで6.5%増

今年1 月~ 9 月のスパークリングワイン輸入量は277 万ケース、前年同期比6.5%増加している。ワイン市場は一昨年から続く業務用需要の不振に因る停滞状況から抜け出しきれない。一方、小売市場は低価格ワインが好調で5 月までは堅調に推移した。しかし6 月の改正酒税法施行にともなう特売日の廃止や店頭価格の引き上げで商況は悪化した。

 

そして9 月を迎え、巻き返しを図ろうという矢先、衆議院が解散、総選挙という事態に。これで酒が売れなくなる。ことにパーティ需要はピタッと止まってしまった。そういうわけで9 月までのワイン市場は前年水準をやや下回っている。

 

一方、スパークリングワイン需要はスティルワインのそれに比べると堅調に推移していると言える。期待していた夏場の消費は二年続きの天候不順で伸び悩んだが、それでも9 月までのスパークリングワイン販売量は輸入量の前年比に近い伸びをしていると関係者はみている。業務用市場は依然としてパッとしないが、スーパー、百貨店など小売市場の動きがしっかりしているからだ。

 

あわせて、前年同期は輸入量も販売量も振るわず、年末に向かって商況が悪化していた時期だった。今年はその悪い時の数字との比較なので、市場実態を上回る数字になっているとも言える。たとえば、2016 年のシャンパーニュ輸入量は2015 年比8%も減少した。シャンパーニュの輸入量が前年割れしたのは2009 年以来のことである。まだ今年上半期の日本向け輸出量がシャンパーニュ委員会から発表されていないが、輸入元の話を聞く限り今年は増勢に転じている。

 

リーマン・ショック以来、ずっと右肩上がりを続けてきた日本のシャンパーニュ市場が、ほぼ10 年を経て階段の踊り場に来ている。次のステップを踏み出すには、ここで改めて新しい需要を創りだすための施策が必要になっている。高額品の代表ブランド、ドン・ペリニヨンは、ナイト・マーケット中心の販売から百貨店、ホテル・レストラン、バーなどに軸足を移している。

 

シャンパーニュの価格改定(値上げ)はここにきて一段落している。為替が比較的落ちついているからだろう。生産サイドでは2016 年、2017 年と収穫減少が続いたが、減った分に備蓄ワインを充てているので、収穫減がすぐに出荷価格引き上げに結びつくわけではなさそうだ。ともかく市場が落ち着くまで、販売価格は現状維持だろう。(K.Bansho)

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画像:東武百貨店池袋店プラザ館の全面改装にあわせてワインショップ・エノテカ池袋東武店もリニューアルした。この店の品揃えは1,000種類をこえ百貨店内のエノテカでは最大級になる。メドック・グランクリュ全61シャトーを常設する他、カフェ&バー(18席)でフードとのペアリング体験を提案する。年末にはシャンパーニュ&スパークリングワイン売り場がさらに充実する予定。

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