Interview 新たなカクテルシーンを提案しカンパリブランドの価値を高める

カンパリグループは、カンパリ、アペロール、スカイをはじめ、50を超えるプレミアムブランドのポートフォリオを持ち、欧州と米国を中心に世界190か国以上の販売網を持つ世界第6位のプレミアムスピリッツメーカーである。カンパリグループ・マネージングディレクターのアンドレア・ネリ氏が来日したのを機に、カンパリ、アペロールの世界戦略および日本におけるブランド戦略などを聞いた。

 

――カンパリグループの成長戦略は

既存のグローバルブランドで成長を実現すると共に、新たなブランドを買収することで成長を加速しています。既存のブランドには優先順位をつけています。カンパリ、アペロール、スカイ、ワイルドターキー、アプルトン、グラン・マルニエの6つは優先順位が高く、グループ売上高の半分を占めています。

チンザノ、グレングラント、ブルドック・ジン、エスポロン(テキーラ)、アマーロ(薬用酒)のチナール、アベルナなどは、その次のグローバルブランドおよびリージョナルブランドとなります。

 

――カンパリとアペロールのブランド戦略は

カンパリは、私どもの社名にもなっており、1860 年に創業したので150 年を超える歴史を持っています。最近、クラシックカクテルが盛り返してきたので、再び、カンパリブランドはルネサンスの時代を迎えてきていると言えます。カンパリのブランド戦略については、2つの方向性を明確にしています。

1つは、本格的なクラシックカクテルを提案し、プレミアムなシーンを楽しんでもらい、ブランドロイヤリティを高めることです。カンパリをベースにしたクラシックカクテルには、ネグローニ、アメリカーノ、ブールバリディー、オールドパルなどがあります。

2つめは、フレッシュで飲みやすいシンプルカクテルを提案し、現代的で都会的なイメージ、カジュアルなシーンで楽しんでもらい、新しい顧客層の獲得を図ることです。

シンプルカクテルには、カンパリオレンジ、カンパリトニック、カンパリスプリッツ(ソーダ)などがあります。

一方、アペロールのブランド戦略はもっとシンプルです。すでにアペロールは、イタリアをアピールする際のシンボルとなる存在となっているからです。

そして、アペロールにスパークリングワイン(プロセッコ)を加えて、オレンジスライスを足した「アペロールスプリッツ」は、イタリアの食前酒の代名詞となっています。ヨーロッパでは、夕食前のひと時に簡単なおつまみとともに、お酒をカジュアルに楽しむスタイルが浸透しています。アペロールスプリッツは、イタリア発祥のカクテルですが、今やヨーロッパだけでなく、アメリカ、オーストラリア、南アフリカへも広がっています。2016 年には世界で6億杯以上の「アペロールスプリッツ」が飲まれたというデータもあります。

 

――日本でのマーケティング活動は

カンパリは日本市場で長く存在しているブランドです。グローバル戦略と同じく、日本市場でももう一度、クラシックカクテルとシンプルカクテルの2つのマーケティング活動を強化します。

特に、最良のパートナーであるアサヒビールと協力し、業務用と家庭用の両方で積極的に提案していきます。

アペロールは、日本ではまだ認知度は低いですが、オレンジの心地よい甘さとハーブの爽やかな香り、そしてアルコール分11%という飲みやすさも相俟って、特に女性を中心に人気を集めており、今後大きな成長が見込まれます。

日本におけるアペロールスプリッツの戦略的な位置づけは、発泡性のある低アルコール飲料と、複雑なフレーバーでアルコール度数の高い本格的なカクテルの中間を考えています。

低アルコール飲料にはエレガントさ、本格的なカクテルにはカジュアルさが、それぞれ不足しているため、アペロールスプリッツで“カジュアル&エレガンス” という位置づけを確立したいと考えています。

もちろん、アペロールスプリッツは料理と合わせて飲むとおいしいので、日本のカジュアルダイニングである居酒屋にも大きな可能性があると考えています。

イタリアではピッツァとのペアリングが最も多いですが、日本人もピッツァは大好きだと聞いているので、そういった相性提案も今後、両社でいろいろと考えていきたいと思います。

 

――ハイボールとの差別化は

日本ではハイボールが人気のようですが、その性質を見てみると、非常に爽やかで飲みやすく、アルコール度数も低いです。それはアペロールスプリッツとかなり似ていると思います。ただ、アペロールスプリッツにはそれだけでなく、さらに2つの価値があります。

1つは個性的な色合いです。カンパリの赤色は女性が特別な夜にドレスアップする色です。アペロールのオレンジ色は非常に生き生きとして活気があり、人々の心を明るくする色です。そして、赤色とオレンジ色を見れば、それぞれブランドのロゴと同じように、すぐにカンパリとアペロールだと分かります。

2つめは、サービスのされ方がエレガントだということです。通常のハイボールは、グラスやジョッキで提供されるようですが、その隣に素敵なグラスにガーニッシュのオレンジを飾ったカンパリソーダやアペロールスプリッツが置かれれば、どちらがエレガントかは一目瞭然です。そういった付加価値をハイボールの好きな方たちに対しても提案できるところが私たちの強みだと思っています。 (A.Horiguchi)

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