1818年、マダム・クリコにより誕生したブレンド法を用いたロゼ シャンパーニュ ヴーヴ・クリコ ロゼ200周年

マダム・クリコ以前は、マセラシオンやエルダーベリーの抽出物で着色するなどしてロゼ シャンパーニュを造っていたようだ。後者は西洋ニワトコの実で、アントシアニンが豊かな黒い果実で酸味が強いものらしい。しかし、醸造にも精通していたマダム・クリコは全く新しい発想で、上質な赤ワインをブレンドすることから、より高い品質を得るに至った。マダム・クリコがブレンドに使ったのは、今でもこの地方でロゼ用赤として名高いブージー村のものだった。

 

マダム・クリコからの継承

 「ヴーヴ・クリコ ロゼ」誕生200周年を記念して来日したのは、シェフ・ド・カーブのドミニク・ドゥマルヴィル率いる醸造家チームの一員であるピエール・カズナーブだ。ボルドーや南アフリカでもワイン造りの経験があり、2008年にヴーヴ・クリコに入社して、ロゼ用の赤ワインの栽培と醸造を担当している。

「文献を読み解くと、マダム・クリコはどのような品質が最適なのか吟味するため、ロゼ用の赤をいくつも試作していたとわかる。凝縮し、フレッシュさのある赤が必要だと理解していた」。

今では、もちろんキュヴェの性質に合わせて赤ワインをセレクトしている。例えば「ローズラベル」用には野生のイチゴやチェリーなどが香るフルーティで飲み心地のよい赤を選ぶ。モンターニュ・ド・ランスの北部から南部まで、ヴェルジィ、ヴェルズネイなどエレガントでシャルドネと間違えるほどフレッシュなピノ・ノワールができる村から、ブージー、アンボネイ、アイなど、様々なピノ・ノワールの赤をブレンドしている。

醸造は、伝統的なブルゴーニュのように行っており、ポンピングオーバーによるソフトな抽出で、力もあるがエレガントな赤を得ることが基本だという。

 

ヴィンテージ ロゼ2008

 ヴィンテージのロゼは2008年が現行のヴィンテージで、2016年1月にデゴルジュマンされドザージュは8g/l。前任のジャック・ペテルスの時代のブレンドで、仕上げはドミニクのチームだ。ヴィンテージ用には「タンニンすら感じられる、より凝縮した赤ワイン」をブレンドしていて、これらは29haも所有するブージーの自社畑のピノ・ノワールだけ。

この年からより複雑さや深み、そしてテクスチャーを与えるために、グラン・クリュを中心に全体の5%だけを大樽で1年間熟成させている。ピノ・ノワールが61%と多く赤ワインも14%ブレンドされている。しかし、豊かだが決して重さが出ることなく上品でフレッシュで、優雅な面持ちだ。ブレンドと熟成の妙を堪能できる。(Y. Nagoshi)

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