- 2018-6-22
- Wines
新理事長に就任した松沢幸一氏(明治屋社長)
日本洋酒輸入協会は5月8日、第111回定期総会を開き、米井元一理事長が次のようにあいさつした。
最近の経済情勢はいざなぎ景気を超えた戦後2番目の景気拡大局面が続いているが、雇用や企業収益の改善が消費や投資の持続的な拡大にはつながらず、消費市場では景気回復を実感できるまでに至っていない。物価動向も2%上昇まで道半ばというのが現状。一方、為替相場は、年初来、円高基調で推移している。
輸入洋酒市場の昨年1年間を振り返ると、スパークリングワインは数量で2.4%増と8年連続増を記録し、2016年に大幅に落ち込んだ2ℓ以下スティルワインも数量で4.0%増となった。ウイスキーは国産品ほど活発ではないが1.4%増と健闘している。昨年7月には、日EU間のEPA(経済連携協定)が大枠合意に至るという大きな出来事があった。EU産ワインの輸入量シェアは57.2%を占めており、2019 年中に協定が発効すれば、チリ産と合わせて88.2%のワインの関税が撤廃される。更に2021年には豪州産と合わせて92.2%のワインを無税で輸入できる体制が整うことになる。当協会は引き続き関係各方面に強く働きかけていきたい。
しかし、酒類の消費量は飲酒人口の減少、少子高齢化の進展等により酒類全体の需要が低迷傾向にある中、為替の変動の影響を直接受けやすい洋酒輸入業界を取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況にある。
2018 年度は次の課題に積極的に取り組みたい。
1つ目は税制改正関係について。2020年10月に第一段階のワイン増税が予定されており、各段階の税率の見直しには景気条項が設けられていることから、実際に増税が実施されるまでの間、増税反対の気運を盛り上げ関係各方面に浸透させていくための広報・啓発活動を引き続き積極的に展開していきたい。また、消費税増税が2019年10月に予定されている。輸入酒類に対する課税標準には酒税関税が含まれるから、酒中連とも連携を図りつつ、消費税導入時の例にならい消費税増税時の酒税減税を強く要望していく。
2つ目は食品表示関係について。食品表示法の表示基準が2015年4月から施行され、5年間の経過措置期間は2年弱を残している。会員各社が円滑かつ適切に新たな表示基準に対応できるようにしたい。また食品表示基準の施行に伴う公正競争規約改正には酒造組合と緊密な連携を図りつつ、所要の改正の準備を進めていきたい。
3つ目は輸入洋酒の適正な流通秩序の維持について。ロット番号の削除等された輸入酒類の流通は、2014年9月に国税庁が「望ましくない」旨を通達している。また、昨年4月から酒類販売管理研修の教材に問題事例として取り上げられ流通業者に対する注意喚起にも取り組んでいる。しかし、依然としてロット番号が削除等された輸入酒類の流通は後を絶たず、行政指導だけでは限界がある。このため、当協会内に設置した検討チームから国税庁に法的規制の導入を求める要望書を提出したい。
4つ目は社会的要請への対応について。輸入洋酒業界も不適切な飲酒の誘引を防止するよう努めたい。
WANDS2018年6月号は「夏のスパークリングワイン」「ブルゴーニュワイン」「ビール」特集です。
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