- 2018-11-12
- Spirits
アルカンが10月1日から、コニャック「ドゥラマン(Delamain)」の輸入販売を開始した。
1824年創業のドゥラマン社は長い間家族経営のコニャック・メゾンとして運営されていたが、1995年にシャンパーニュ・ボランジェのソシエテ・ジャック・ボランジェが参画。さらに昨2017年からは株式の60%を所有し、最大株主となった。ボランジェ・グループ商品を取り扱ってきたアルカンでは、これを機に社内に新しいセクション、SJB プレミアム・カスタマー部を設立し専任スタッフを配置。同社輸入洋酒ポートフォリオのなかでボランジェ、アラヤ、ドゥラマンの3銘柄をプライオリティ・ブランドとして注力していくことになった。
「ボランジェ・グループの一員となった今も株式の40%はドゥラマン家が所有し、9代目にあたるシャルル・ブラスタッドがマーネージング・ディレクターとして経営を行っている。現在、製品ラインナップの整理とパッケージングの見直しは進めているが、高品質のコニャックを造ることに関しては昔も今も全く変わっていない」と、輸出部長のオリヴィエ・ジャドー氏は語る。
ドゥラマンにおけるコニャック造りの特徴は幾つかある。
その一つは、ドゥラマンは自社畑を所有していないが、コニャック域内に6つあるクリュの中で最高とされるグランド・シャンパーニュのブドウだけを使っていることだ。アルコール分約70%のオー・ド・ヴィの状態か、2年以上熟成したものを調達。域内の農家からサンプルをもらい、テイスティングを行い、気に入ったら価格交渉を行って買い付ける。「決まった契約農家ではなく、異なる複数の農家からその都度品質を確かめて買い付けることにより、常にドゥラマンのスタイルを守ることができる」というのが、その理由だ。
第2の特徴は、XO カテゴリの製品しかつくっていないこと。BNIC(国立コニャック生産者協会)が定める熟成規定では、VSは最低2年、VSOPは最低4年、XOは最低10年(以前の規定は最低6年熟成であったが、2018年4月1日以降に瓶詰め出荷される製品の最低熟成年数が引き上げられた)とされている。ドゥラマンの場合は、最もポピュラーな製品、ペール&ドライでも最低25年は熟成。熟成にあたっては、新樽ではなく古樽だけを使用している。
特徴の第3は、原酒のブレンドに1年~1年半ほどの時間をかけ、そのブレンド期間中にアルコール度数を下げる加水のかわりに、「ル・フェーブル」という特別な液体を使っていることだ。このル・フェーブルは容量1万ℓの大樽のなかで、蒸留水とコニャックを混ぜ合わせ、アルコール度数を15%に落としたもので、使った分だけ常に注ぎ足されている。ル・フェーブルは各製品ごとに用意され、これを徐々に熟成原酒に加えることにより、色調調整のためのカラメル使用が抑えられ、アルコール度数40%でボトリングをした時に風味のバランスを最良の状態に保つことができるのだという。
つづきはWANDS 2018年11月号をご覧ください。
11月号は「シャンパーニュ&スパークリングワイン」特集です。
ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!
最近のコメント