サッポロビール2019年RTD事業 99.99<フォーナイン>を軸に 年間1000万函の販売を目指す

サッポロビールの髙島英也社長ら首脳陣は2月5日に会見し、今年の同社RTD 事業方針を発表した。髙島社長は冒頭、2018年のRTD市場および同社の業績について振り返り、要旨次の様に語った。

「近年伸長が続くRTD市場は2018年も10%以上の伸びとなり、総需要は2億ケースを突破した。この市場を牽引しているのはアルコール分が7~9%の高アルコール帯商品であり、昨年はすでに6割近いシェアを占めるに至っている。根強い節約志向やレモンサワーブームもRTDに対して追い風になっている。こうした中で、我が社のRTD製品の販売実績は694万ケース、対前年比177%と大きな伸びを達成した。これを牽引したのは昨年239万ケースを販売した『サッポロチューハイ99.99』の他、『愛のスコールサワー』や『キレートレモンサワー』などの既存ブランドのコラボレーション商品だ」。

同社は、RTD 市場は今後も伸長が続き、2018年対比で8年後の2026年の市場規模は150%に達すると予測する。

その理由について、髙島社長は、「今年は消費税増税が予定されておりこれ自体は逆風と言えるが、他の酒カテゴリに比べてRTD市場への影響度は低いだろう。なぜなら、RTD 主飲用者は昔は若年層に限られていたが、今はあらゆる年代で男女を問わず飲まれるようになっている。また、ビールの酒税は2020年、23年、26年と三段階で改定される見通しだが、2026年以降もRTD は税制上のアドバンテージがある。さらに、外食におけるレモンサワーブームによる接点拡大はとどまるところを知らない状況だ」と説明する。

こうした中、同社では今年、コラボ商品とオリジナル商品の2つの軸を強化しつつ、特に『99.99』と4月2日に発売予定の『レモン・ザ・リッチ』に集中投資を行い、中期経営計画目標を一年前倒しする形で、RTD 事業全体で前年比144%となる年間1000 万ケースの販売を目指す。

 

「レモン・ザ・リッチ」発売で新価値提案

続いて、宮石徹取締役常務執行役員営業本部長が今年の事業戦略の概要について次のように説明した。

昨年8月28日に発売したサッポロチューハイ99.99 <フォーナイン>は、当初計画の200 万ケースを1 か月前倒しして達成した。クリアなうまさと斬新でスタイリッシュなデザインが評価され、発売1か月後の調査では、ブランド認知者のうち2人に1人が飲用しているとの結果だ。2019年は、99.99 だけがもつ味覚の絶対的価値である「クリアなうまさ」を最高の価値として訴求し、「99.99 with」をテーマに、食やアウトドア、友達となど、様々なオケージョンにおける新しい飲み方提案を徹底する。さらに、3月5日にクリアライム(350ml 缶、500ml 缶、各9%) を発売し、通年ラインナップ4種体制により、飲用機会の拡大を図る。コミュニケーション戦略では引き続いて長谷川博己を起用し、CM展開。年間販売計画を前年比167%、同社RTD全販売量の4割に相当する400万ケースに設定。サッポロ社を代表し、無くてはならないブランドに育成する。

新価値提案では、4月2日にサッポロ「レモン・ザ・リッチ」3種(濃い味ドライレモン、濃い味レモン、濃い味ビターレモン、いずれもアルコール5%)を新発売する。同社の調査によると、レモンサワーの外食飲用率は2018年に76.8%とこの10年で1.5倍に増加。また、インテージ調査では2018年の家庭用販売量も前年比117%、15年対比で1.4倍に拡大した。しかし、消費者の缶レモンサワーに求める品質水準は年々高くなっており、実際のレモン果汁は余り含まれていない、本物感が足りないなどまだまだ改善の余地がある。

新商品「レモン・ザ・リッチ」は国内レモン果汁で90%弱のシェアをもつポッカ・サッポロ社と5年の歳月をかけて開発。レモン果汁に、レモン果皮由来のオイルとレモン果皮、レモンのパルプ分を加えることにより、香り高く深みのある濃い味わいを実現した。発売前に180名の消費者を対象とした中身評価では、美味しいと答えた人が94%、継続購入意向も92%と高スコアを得た。レモンへのこだわりを表現した品質感あるデザインに対する評価も高く、81%が買いたいと答えている。年間販売計画を120万ケースに設定し、レモンサワーの新定番としての地位の確立を目指す。

この他、「愛のスコールサワー」「り・ら・く・す」「キレートレモンサワー」では3月中にそれぞれリニューアル&エクステンション商品を発売。強アルコール需要創出に向けた新提案としては、2月26日にAlc.12%、強炭酸の「サッポロ マグナム MAGNUM レモン」を新発売した。

RTD製品の2018年販売実績と2019年計画
18年販売実績 19年販売計画
万ケース 前年比% 万ケース 前年比%
サッポロチューハイ99.99 239 400 167
男梅サワー 162 98 165 102
愛のスコールサワー 83 204 100 120
り・ら・く・す 65 90 138
キレートレモンサワー 46 110 70 152
レモン・ザ・リッチ 120
合計 694 177 1,000 144

 

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