ドメーヌ・ルフレーヴ最新情報 byブリス・ド・ラ・モランディエール

「この3年で品質を高めるためにさらに改良改善した」と口火を切ったドメーヌ・ルフレーヴの当主ブリス・ド・ラ・モランディエールは、新たに畑を購入したり、新しいプロジェクトを立ち上げたりと勢力的に活動している様子を語った。

 

新しいプロジェクト

3年ぶりに来日したブリス・ド・ラ・モランディエールは、新たなプロジェクトにワクワクしているようだった。2017年1月からドメーヌ・ルフレーヴの支配人となったピエール・ヴァンサンとともに、ネゴシアンを立ち上げたという。コート・ドール、シャブリ、マコネなど8から9のAOCからブドウを購入して、赤も白も造る。「ルフレーヴ・アソシエ」の延長線上にはあるが、別の名前にするかどうかもこれから決めるという段階。2019年ヴィンテージより2020年末か2021年にリリース予定で進めている。

このプロジェクトに着手した理由は「ブルゴーニュが好きだから。ピュリニー以外のもので、その多様性を今まで以上に追求したいから」。そして、周りとは異なることをしたいと考えている。

「シャブリでシャブリらしいものを。マコネではフュイッセのポテンシャルを引き出したい。フュイッセはすべて1級になっても良いぐらいのポテンシャルがあると確信しているので、うまくいけばフュイッセ全体が持ち上げられるだろうと考えている」。

「畑や栽培家を選ぶひとつの指標はオーガニックかビオディナミ栽培で、私たちの意見も聞いてくれて、私たちの望むようなブドウを栽培してくれること。収穫のタイミングはうちで決める。どのぐらいの量をリリースできるかどうかはまだわからない。最後まで納得して出すかどうか決めるから。購入はすべてぶどうで、その内80〜90%は私たちのチームで収穫を行う」。

ドメーヌ・ルフレーヴのファンでありながら数に限りがありなかなか手に入らない人々にとっては朗報だ。およそ1年後となるリリースが今から楽しみだ。

 

新たな畑

また、徐々に畑を増やしている。ピュリニーの近くに3haのブルゴーニュブランAOC用の畑を購入し植え替えた。マコンでも8〜9ha買い足して、そのうち5haに植樹する。いずれも、ルフレーヴの畑からセレクション・マッサールしたシャルドネを植えていく。他に注目しているのは「オート・コート・ド・ボーヌ」で、土地を購入して整備してきたのでこれから植えるという段階にある。「温暖化の影響を感じていて、オート・コートにはよい影響を与えているのは確かだ」。このように、ドメーヌとしてもピュリニーだけでなく、他の場所においてもルフレーヴらしさを表現したワインを生み出したいと考えている 。

現在、畑はピュリニーに27ha、マコンには24haある。マコネの中ではそれほど大きなテロワールの違いはなく、粘土石灰質でコートドールとだいたい同じだという。ただし、向きが異なり、マコンは東向きと西向きで、フュイッセは南向きと北向きの斜面がある。フュイッセの場合には、造りは全くピュリニーと同じで、樽熟成を1年、タンク熟成を1年、そして新樽率は15%ほど。一方で、マコン・ヴェルゼは、ステンレスタンクとセメントタンクが90%となる。

 

古酒

さて、もうひとつの動きにも目を見張るものがある。

「これまでもテロワールの表現に務めてきた。純粋なエクスプッレッションを得るためにビオディナミを実践してきた。例えば、最新のニュースレターでも記しているが、タイユについても新しい方法を取り入れた。どのようにすれば樹液が木の中で最もエネルギーを保ちながら循環していくか、なども考えている」。

「もちろん畑の仕事が最も重要ではあるが、醸造についても同じエスプリで行なっていく。ドメーヌのエスプリは、常に素朴でシンプルであり自然に対して控えめであり、好奇心を持って仕事をすることである。新しいカーヴについては、次のニュースレターで書く予定だ」。

「ピュリニーは、地下水の位置が高いため地下にカーヴをつくれない。だから、地上で、どのように断熱効果のあるカーヴをつくるのかがポイントとなる。工夫して、90%のエネルギーを節約できるようになった。環境にとってもよいことである。ブルゴーニュのワインはある一定以上の年月を経てはじめて真価を発揮すると確信しているので、より多くの瓶を貯蔵できるようカーヴを拡張しているところ。古酒も1本ずつ抜栓して点検して、状態がよいものは同じヴィンテージのワインで補填して完璧な状態にしてさらに貯蔵する。2万本ほど古酒はすでに販売用に準備していて、その中から最近少量だけリリースした。1986年から2010年まででピュセル以上のものだ。2013年ヴィンテージからは、ある一定量をストックしておき10年後、つまり2023年にリリースする」。

ルフレーヴのワインは、本当に開き始めるのに月日がかかる。ドメーヌが最高の状態で保管して花開いてからリリースしてくれるというのは願ってもない。もちろん入手できる確率は相当低いだろうが、その真髄を理解するためには早く飲みすぎないでほしい、というドメーヌからのメッセージでもあるのだろう。

 

2017年は特別な年

2019年の秋に、2017年がリリースされた。1717年はルフレーヴ家がピュリニーに住み始めた年で、2017年はその300周年とという特別な年なので、特級とピュセルだけはラベルを金で縁取り、1717と2017の数字をエンボス加工にした。

ちょうどピエール・ヴァンサンがドメーヌに参画したのも2017年の1月だった。「非常に優秀で、ビオディナミにも詳しく、人格も優れている。醸造についてとても正確で細かい。2019年という困難な年に彼の才能が十分に生かされたと感じている。定説に盲目に従うのではなく、疑問に思ったことに対して変えていく柔軟性も持ち合わせている」。

2017年はブドウが早く熟した年で、8月29日に収穫開始。「しかし、暑い年の特徴はあまり見られず、均整が取れ、花の香りがする。過去20〜25年の中でもトップのひとつで、2017は傑出した年」。試飲したいくつかの銘柄の様子を伝える。

 

マコン・ヴェルゼ レ・シェーヌ2017

創業者の4人の子供のうち息子がジョセフとヴァンサンで、ブリス・ド・ラ・モランディエールはジョセフの娘の子供。

「2017年より、このリューディを単独で造り始めた」。

まだ閉じているが、ハリがありバランスよい香りで熟した黄色い果実が感じられる。なめらかなアタックで、酸がとてもしっかりとしてバックボーンが強い。丸みというよりはミネラル感があり余韻も長く、フレッシュな柑橘類、スダチ的な香りが後味に残る。

 

プイィ・フュイッセ アン・ヴィニュレ2017

「アン・ヴィニュレは1級に認められるはず。もうひとつの畑シェノーはその予定ではないが、1級と同等だと考えている」。

少しバニラ香が多めに感じられる。全体にまだ固いが熟した黄色い果実が香り、よりなめらかなアタックで、厚みもあり酸とミネラルもしっかりとしている。

 

ピュリニー・モンラッシェ プルミエ・クリュ レ・ピュセル2017

「ピュセルは複雑で、エクスプレッションはやや控えめながら、特級と同じ性格だと考えている。華やかな香りで、的確な収穫ができた。アルコールも高くないしミネラルのテンションが鮮やかに出ている。バランスがよい」。

熟した黄色い果実の香りと樽の要素が融合した優雅な香りで、しなやかなアタックで、酸とミネラルのテンションが大変綺麗にバランスし、筋の通った長い余韻の味わい。

 

シュヴァリエ・モンラッシェ2017

より光沢のようなツヤを感じる香り。厚みがありとてもよく熟した黄色い果実が香る。なめらかなアタックで、テクスチャーが大変心地よくテンションも酸もしっかりしている。快活さ、勢いがある。長い余韻で、よりミネラルと酸が強い。

 

ちなみに、半年に1度配信されるニュースレターは、当主のブリス・ド・ラ・モランディエール本人が記しているようだ。ニュースレターを登録していなくても、ホームページに掲載されるので、興味があればいつでも読める。(Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

 

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