シャトー・ド・ヴィラール・フォンテーヌ 再び、中世のブルゴーニュの偉大な産地の時代到来!

中世のブルゴーニュの偉大な産地は、オート・コート・ド・ニュイにあったという。1609年の寒波によって標高が低い場所が開拓され始め、現在のコート・ドールができあがった。かつての名声を取り戻そうと生まれ故郷で気を吐いた人がいる。ベルナール・ユドロだ。昨年彼は他界してしまったが、その遺志はマチュウ・ピークールがそのまま継承し、シャトー・ド・ヴィラール・フォンテーヌは健在だ。

 

 

気候変動でオート・コートが断然有利に

かつてブルゴーニュでは補糖してから発酵するのは当たり前のことだった。しかし近年、気候変動で気温が上昇しているため、反対にアルコール度数を上げすぎず綺麗な酸を保つのに工夫している生産者が増えている。このような環境下で、再び注目を集めているのがオート・コート。標高が高い地区だ。

ベルナール・ユドロが、オート・コート・ド・ニュイのヴィラール・フォンテーヌ村でドメーヌを始めたのは1970年のことだった。標高が高く冷涼で、まだ当時はブドウが完熟するには不利な年もあった。しかし、この村があるオート・コート・ド・ニュイは、11世紀からサン・ドニ修道士とブルゴーニュ侯爵によって拓かれたブドウ畑があり、中世の偉大なワイン産地として知られていた。特に1030〜1350年が温暖な時代だったようだ。しかし、1609年の寒波以降に冷涼気候の時代が到来したため、修道士たちは100m低いニュイ・サン・ジョルジュを開墾し始めたのだ。

 

偉大なワイン産地としての名声を失ったヴィラール・フォンテーヌの敷地は、その後アントワーヌ・ド・ラトゥールが購入して城を建てた。さらに1864年には、ベルナール・ユドロの母方の曽祖父に当たるピエール・モンジャールが購入したが、19世紀末のフィロキセラ禍の憂き目に会い手放してしまった。

だが、ベルナール・ユドロはこの地の潜在能力に気がつき再びかつての栄光を取り戻せる日が来るのではないかと、ドメーヌを興した。畑を少しずつ買い足し今では自社畑が30haに及ぶ。しばらくはドメーヌ・ド・モンマンという名称だったという。シャトー・ド・ヴィラール・フォンテーヌに改名したのは、城そのものを購入した2000年になってからのことだ。

 

1996年以降は、毎年満足のいく成熟したブドウが収穫できるようになってきた。気候変動によって、また偉大なワイン産地へと返り咲き始めている。

 

じっくり造りゆっくりリリース

シャルドネが植えられているレ・ジロメは2.1haの南向きの畑で標高380〜400mにあり、ル・ルアールは6.1haの東向きの畑で同じく標高380〜400mにある。ピノ・ノワールがあるレ・ジュネヴリエールは、7.8haの南向きの畑で標高290〜320m。畝間を3mとり3,333株/haで植樹し、高さ1.8mの仕立てがこの土地に最も適しているようだ。風通しもよいため病虫害が少なく、サステイナブル農法で丁寧に栽培している。

 

まず、品質の高いブドウありき、というのはもちろんのこと、ヴィラール・フォンテーヌのこだわりのひとつが、急がないこと。

例えば、赤ワインの醸造はオープンタンクで28℃ぐらいまでの温度で、天然酵母で2〜3週間かけて行う。モダンな醸造技術でなるべくタンニンを抽出せず早飲みできるようにする、という選択肢もあるが、ここではタンニンも最大限に抽出する。その代わり、熟成に使用する小樽は36か月以上シーズニングし、赤はスタンダードで18〜24か月、上級キュヴェで24〜48か月熟成させる。

「ピノ・ノワールのポリフェノールは果皮には15%ほどしかなく、残りは種に存在する。だから、種もかき混ぜることで抽出が完了する。これがオーク樽の中でゆっくりと重合していくから、時間がかかる」と説明している。

さらに、瓶内熟成も長期間行いゆっくりと出荷する。「レ・ジュネヴリエール」の場合「パワフルでタニックなのが好みなら、5〜7年してから飲むのがお勧めだが、20〜30年置いておける」とのコメントが記されている。

 

今春、日本に到着したアイテムのご覧の通り。2012年から1999年まで! しかも、今のブルゴーニュのドメーヌものと比較すると破格値だと言える。いずれも、バックボーンがしっかりとして細く長く、上品だ。

 

Château de Villars Fontaine “Les Jiromées” Grand Tradition 2012

明るい黄金色。バニラなどのスパイス、熟した蜜りんご、洋梨や桃のコンポート、蜂蜜などの華やかな香り。なめらかなアタックで心地よい口当たり。酸も生き生きとしている。口中でも香ばしさや熟した果実の香りが広がる。ジューシーで、フレッシュな塩っぽさを感じる余韻。参考小売価格 6,800(税別)

Château de Villars Fontaine “Le Rouard” 2008

淡い黄金色。上品で華やかな香り。セミドライの洋梨や桃、りんご、トーストやスパイスといった香ばしさなど、少し練れた熟成の初期段階を思わせる香り。なめらかなアタックで始まる心地よい口当たり。酸のバックボーンもしっかりしてまだ若さが感じられる。上品な細身で骨格がしっかりしているが、丸みが出てきている。参考小売価格 4,800(税別)

Château de Villars Fontaine “Le Rouard” 1999

明るい黄金色。穏やかな香り。ほのかなバニラなどのスパイスとドライな白い果実の香りがゆったりと香る。しなやかなアタックで、味わいも穏やか。果実も酸も落ち着いて、一体となっている。清楚で、若さも熟成感も楽しめる。参考小売価格 4,800(税別)

 

Château de Villars Fontaine “Les Genévrières” 2010

オレンジがかった明るいルビー色。しなやかな香り。少しドライなラズベリーやクランベリー、ほんのりとスパイスや鞣し革など。ピュアで引き締まった香り。アタックからとても上品。細身のボディだがバックボーンがしっかりとしている。酸も鋭角的ではなく、細やかなタンニンもよく馴染んでいる。清楚な後に引く味わい。参考小売価格 4,800(税別)

Château de Villars Fontaine “Les Genévrières” 2009

オレンジがかった明るいルビー色。繊細な香りだが、2010年より少し果実の厚みが感じられる。凝縮度も感じられるラズベリーやスパイスの香り。アタックもなめらかで、酸もソフトに感じられる。ふくよかさもあり、タンニンのストラクチャーがしっかりとしている。基本は細身ながら筋肉もついているタイプ。まだ若々しい。参考小売価格 4,800(税別)

(Y. Nagoshi)(ボトル画像:Tadayuki Yanagi)

輸入元:ラック・コーポレーション

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