“イタリアの緑のハート”ウンブリアの自然をワインに表現する『ルンガロッティ』

「“イタリアの緑の心臓” と称されるウンブリアはアッシジやペルージャなどの芸術都市とともに、人の手が加わらないありのままの自然で知られています。そこに住む人々には質の高い暮らしがあり、その文化の中心となっているのがワインと食なのです」と、キアラ・ルンガロッティさんは語り始めた。

ウンブリアでは2000 年以上も前からワイン造りが行われてきたが、「世界のワイン地図に“ウンブリア” を書き入れた」のが、キアラの父、ジョルジュ・ルンガロッティだった。それまで葡萄は他の食物との混作で栽培されていたが、ジョルジュの代に葡萄畑に特化し、トルジャーノをウンブリアを代表するワインに引き上げた。

ジョルジュが1999 年に他界した後、ペルージャ大学で農学を、ボルドー大学で葡萄栽培学を学んだキアラはCEO に就任。醸造責任者を務める姉テレーザとともにワイン造りを引き継ぎさらに様々な改革を実践してきた。2014 年にはイタリア女性醸造家トップ10 に選ばれている。

 

「ルンガロッティの全てのワインに共通しているのはエレガンス。エレガンスはとても重要な要素であり、食べ物との調和や味わいの構造のバランスにも通じている。トルジャーノは元々は湖があり地質の中に堆積物を多く含んでいるが、当時の水の深さに応じて区画ごとに砂質や粘土質の配合が変わる。だから、それに応じて品種や栽培法を変え、難しい年でも手入れをしっかりと行って土地の個性を最大に引き出すことが一番大事なことなのです」。

「たとえば大好きな品種サンジョヴェーゼはとてもデリケートで、土地の個性を映し出しやすい。畑の標高や斜面の向き、土壌などによってできるワインは微妙に違う。醸造ではマセレーションをしすぎずに、畑の個性をそのまま引き出すことがとても大切なのです」。

 

こうした考え方をサポートしてきたのが、99年からルンガロッティのコンサルティングを務め、今春レジョン・ドヌール勲章を授与したドゥニ・デュブルデュー教授の存在だ。「教授は父が亡くなって10日後には夫人とともにトルジャーノを訪れてくれ、この先どうすべきか、醸造面だけでなく植え替えなどについてもいろいろ指導をしてくれました。教授は今でも一年に一度は足を運んでくれ家族の一員のような存在。そしてそこから始まったのは単なる変革というよりも、まさに革新なのです。だから、ルベスコもルベスコ・リゼルヴァも10 年前とは大きく変わっています」。

 

トルジャーノ各地に点在する畑は延べ230ha。ここではサステイナブル農法を実践し、5カ所に気象観測装置を取り付け分析。除草剤は一切使わず、1シーズンに最低2回は耕作。牛の糞を使った堆肥を使用。冬期剪定で出た枝を集めて発電し、ワイナリーで消費するエネルギー使用量の70%をバイオマスで補っている。一方、ワイナリーの廻りを取り囲むように広がっているモンテファルコの畑では、2014 年に有機農法BIOLOGICO の認証を取得した。

 

トッレ・ディ・ジャーノIGT 2014 ソフトなアタックの辛口白。白い花や柑橘のアロマ。適度なボディとフレッシュな酸。フィニッシュの心地良い苦みがアクセントに。温暖化対策のために2000 年から試験栽培していたヴェルメンティーノを2011年からブレンドし、暑かった14 年産は40%まで比率を上げた。この結果、トレッビアーノの比率が35%まで下がったため、IGT 規格に。しかしDOC 規定が変わり、トレッビアーノの最低比率が50%から20%へと引き下げられたため、2015 年産からはビアンコ・ディ・トルジャーノDOCになる。

ルベスコ・ロッソ・ディ・トルジャーノDOC 2011 ミネラリーで、熟した果実の甘さとピュアな酸。スミレや甘草、スパイシーなアロマ。サンジョヴェーゼ90%使い、15日間醸し発酵、大樽で1 年熟成。ウンブリアのサンジョヴェーゼにはふくよかさで包み込むような優しさがある。

“ルベスコ・ヴィーニャ・モンティッキオ” トルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァDOCG 2008 海抜300m、日照に恵まれ風がよく通りぬけるモンティッキオ畑の古い樹から1本あたり1Kg(植樹率はha あたり4000 〜 5000 本)という通常の半分の低収量で収穫された葡萄を使用。サンジョヴェーゼ80%。新樽から3 空き樽までのバリックで1年熟成し、さらに最低5 年は瓶熟成。ブルーベリーやチェリー、スミレ、スパイスなど凝縮した果実香、ベルベットのような滑らかなタンニン、余韻の長さが特徴。30〜35 年は熟成するという。

サグランティーノDOCG 2009 この年の夏はあまり暑くなく、収穫は10 月中旬と遅かった。延べ28 日かけて醸し、バリックで12か月熟成。紫がかったルビー色。ラズベリーやシガー、カカオの香りと凝縮したタンニン。そして、フレッシュな酸。たっぷりとしたポリフェノールを感じさながら、優しくエレガントな味わいは他のワイナリーのサグランティーノと一線を画している。(M. Yoshino)

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