東洋思想の五行説をウイスキーに具現化したトマーティンの最新作 ザ・ファイブ・ヴァーチューズ

スコットランドのトマーティン蒸留所からマスターディスティラー(蒸留所責任者)のグレアム・ユンソン(写真右)とリージョナル・セールス・マネージャーのグレアム・ニコルソンの両氏が4 月に来日した。

同蒸留所は昨年、英国のウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」主催のアワードで、その年のウイスキー業界に最も貢献したスコットランド蒸留所に贈られる「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー2016」を受賞。これと連動して、これまでの武骨でタフなウイスキーのイメージから、ハイランドモルトが持つソフトな一面を強調するボトルデザインに刷新した。さらに今年は「ブランド・イノベーター・オブ・ザ・イヤー2017」を受賞。

最新作「ザ・ファイブ・ヴァーチューズ」*を披露するために来日した両氏に、新商品に込めた思いなどを聞いた。

 

5つの元素の営みをモチーフに

「ザ・ファイブ・ヴァーチューズ」シリーズとなる5種のウイスキーのラベルの真ん中には、それぞれWOOD(木)、FIRE(火)、EARTH(土)、METAL(金属)、WATER(水)の文字が書かれている。

「自然現象を解明する思想には、洋の東西を問わず色々な説がある。代表的なものとしては、西洋の四元素説や原子説、東洋の五行説や陰陽説がある。その中でも五行説では、ウイスキーづくりにも影響を及ぼしている木、火、土、金属、水の5 つの“ 元素” が万物を構成する基本的な要素としてとらえられている。この考え方が、ウイスキーの最新作を造る上での重要なモチーフになった」とニコルソン氏は話しはじめた。

この五行説は、5つの元素は個々ばらばらに存在しているのではなく、相互に関連しあいながら存在するという相生(そうじょう)説から成っているという。

「水を与えることで木は潤い、木をくべることで火は燃え続け、火が燃え尽きると土となり、土によって金属は育まれ、金属の表面の水滴から水が生まれる。このサイクルが永遠に巡っていく」。

 

モノづくりは“透明性”が大切

「今年はブランド・イノベーター・オブ・ザ・イヤーという称号を頂いた。これまでのように希少なシングルカスクを商品化するだけでなく、どういったウイスキーを造っている蒸留所なのか、中味はどういったコンセプトなのかをきちんと伝えていかないといけない。つまり“ 透明性” を高めていくことが求められる。そうすることで私たちの蒸留所やウイスキーに対して興味や関心を持ってもらえるようになる。今回はこれまでとは違った発想でウイスキーづくりに挑戦した。5種類のウイスキーを作り上げるために、まるでジグソーパズルのピースを一つひとつはめ込んでいくような試行錯誤を繰り返した」とユンソン氏は振り返った。

こうして出来上がった5種類のウイスキーは、ニューポットは基本的にどれも同じなのに、使う樽や熟成させる期間や場所によって、味わいに多様性が生まれ、ウイスキーの面白さ、奥深さを再発見できる出来栄えとなっている。

ウッドは3種類のオーク樽、ファイアは樽の内側を深く焦がした樽を使用。アースは唯一ピーテッド麦芽(15~18ppm)で仕込み、メタルは銅製ポットスチルの特徴を引き出した。最も難しかったというウォーターは、オルタナフリスから湧き出るピュアな軟水に注目し、冬期に蒸留した原酒のみを使用した。

発表会では9月発売の「ウッド」と「ファイア」、日本限定品「Px」を試飲した

東京・恵比寿のジョエル・ロブションで行われた新商品の発表会で「ウッド」と「ファイア」を試飲することができた。

ウッドはこれまでのトマーティンのスタイルと合致して軽やかでまろやかなバニラ香とオークのスパイシーさがバランスよく仕上がっている。一方、ファイアはチャードオーク由来のアップルパイを焦がしたような甘い香りと味わい、後味はスパイシーな心地よさが口の中に広がり、ウッドよりもさらに円熟味が感じられた。

化粧箱と各製品のラベルに施されたデザインは、英国の現代美術アーティストのエヴァ・ウルリックが5つの元素の営みと、それらがウイスキー造りにもたらす役割を美しく表現している。

(A.Horiguchi)

*世界で各6000本の限定発売。日本国内ではウッドとファイアは今年9月、アースは12月、メタルとウォーターは来年4月の発売を予定。いずれも46%、700ml、希望小売(税別)1万円。各420本の数量限定。7月中旬に発売予定の『トマーティン ペドロ・ヒメネスフィニッシュ2001』(Px)は55%、700ml、希望小売(税別)3万円。656本の数量限定

製品ラインナップ
ウッド フレンチ・アメリカン・ハンガリアンオーク
10% 1999年 ハンガリアンオーク樽
20% 2006年 アメリカンオーク樽
70% 2006年 フレンチオーク樽
ファイア ヘビーチャードオーク
100% 2005年 ディチャー/リチャーリフィル樽
アース リフィルホグスヘッドオーク
50% 2006年 リフィル樽
25% 2006年 シェリー樽
25% 2006年 ファーストフィルバーボン樽
メタル バーボンバレル
100% 2003年 ファーストフィルバーボン樽
ウォーター シェリーバット・バーボンバレル
50% 2005年 シェリー樽
50% 2005年 セカンドフィルバーボン樽

 

関連記事

ページ上部へ戻る