- 2018-4-5
- Spirits

池上祐子さんは、昨年日本代表として「ラ・メゾン・コアントロー・アジア・ファイナル」に出場し、総合準優勝を果たした。リーガロイヤルホテルのマスターバーテンダー 古澤孝之氏から薫陶を受ける若きホープだ。反面、「酒離れ」が叫ばれる世代の一人でもある。彼女の目にコニャックはどう映っているのか、率直な意見を聞いた。
池上さんが勤める「セラーバー」は、日本有数の格式高いバーで、ゆったりとした空間で落ち着いた雰囲気に包まれている。顧客は、ホテルのレストランを利用する前に、あるいは食後に立ち寄り時間を過ごす。
ただ、ブラウン・スピリッツの中でウイスキーとの格差はここでも見られる。ウイスキーは自然に注文が入る。しかし、ブランデーはそうはいかない。「30年前にブランデーを飲まれていた方々は、次第にお酒を召しあがる量も減っている。ウイスキーは広告宣伝でも頻繁に目にするし、20代でも触れる機会が多くありますが、ブランデーは懐かしい、あるいは少し古めかしい、といった印象が残っているように思います」。つまり、ブランデーは愛飲層がそのまま年を経て、新たな消費者を獲得できていない、ということになる。
「わたくしと同世代の方にとってコニャックは特別なお酒、敷居が高く価格も高いという印象があり親近感を抱いてもらえないので、新しい提案が必要だと考えています。例えば、ツイッターやフェイスブックといったSNSを利用して、香り豊かでおしゃれな飲み物であることをアピールする。そんなトレンド発信が必要なのではないでしょうか」。
クラシック・カクテルの提案
ここでは古澤さんのアイデアで、メニューにクラシックなカクテルをいくつか載せている。カクテルの原点に戻ろう、という提案だ。
最近多くの店でカクテルが提供されるようになった。しかし、メニューに載っているカクテルは、どこでも同じ名前のものが多く誰もが知っている。それを皆繰り返し注文する。そうではなく、なかなか見かけることのないクラシックなカクテルを掘り起こし、今の時代の人たちにかえって新しく映るように提案し始めたのだ。(Y. Nagoshi)
つづきはWANDS 2018年3月号ブランデー特集をご覧ください。 ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
最近のコメント