WAPIRITSの挑戦② 地元バーテンダーからもエール 『TUMUGI』の可能性を探る

大分と福岡に滞在中、4軒のバーを訪問した。このうち、『TUMUGI』に対して、地元への郷土愛からエールを送るバーテンダーのお二人に、カクテルを紹介してもらいながら、その魅力と可能性について話を聞いた。

 

Bar CASK 佐藤昭次郎さん

Bar CASK のオーナーバーテンダー佐藤昭次郎さんはバーテンダー暦58 年の重鎮。今年3月まで一般社団法人カクテル文化振興会理事長を務め、4月からはNBA 特別運営顧問として若手の技術育成に貢献している。

地元大分で誕生した『TUMUGI』に対する愛着も人一倍だ。現在は全国にその認知度を高めるために尽力している。「現代カクテルの歴史は160 年。国際的にも多様化する中で、バーテンダーが生き残っていくには、絶えず新しい風を吹き込んでいかないといけない」という思いがある。

国内外のトップバーテンダーが集結し、今年6回目を迎えた東京バーショーでも、WAPIRITS としての『TUMUGI』を知ってもらおうと、ブース出展を持ちかけたのも佐藤さんだ。「私も気になってちょくちょくブースを見に行ったが、良かったのはプロのバーテンダーが試飲して気に入ってくれ、全国大会でも使われていること。1年もすれば全国で広がると思いますよ」と力強いサポーターだ。

早速、佐藤さんが考案したカクテル『つむぎの女(ひと)』を頂く。竜鉄也の演歌『紬の女』をイメージしたのだろうか。淡いピンク色で女性をイメージしたカクテルだ。これでマティーニをつくるとTUMUGI マティーニになる。

レシピはTUMUGI30ml、桜リキュール20ml、カボス果汁10ml、シェイクしてカクテルグラスに注ぐ。

今が旬のカボスだが、日本全国どこでも一年中使えるといって、佐藤さんが取り出したのがJA 大分の『香母酢』果汁製品。

「すでに銀座の仲間にもお中元に何本かサンプルとして送った」といい、地元への郷土愛は並々ならぬものがある。

ショートに続いて、ソーダでアップしたロングも頂く。味わいはぐんと軽くなった。

折角なので、モヒートもお願いしてみた。すると『NEW OAK CASK STORAGE』を使い、敢えてシロップは加えず、さっぱりと仕上げてくれた。TUMUGI そのものに甘さがあるので、辛口と甘口どちらでも両刀使いできる良さがある、という。

TUMUGI には、テキーラに似た甘さのニュアンスを感じたのでマルガリータをお願いした。「テキーラよりもTUMUGI の方が飲みやすい」と佐藤さん。グラスの縁にリムドした塩を舐めながら飲むと甘さが引き立つ。

佐藤さんにお願いして、結局、ジン、ウオッカ、ラム、テキーラの4大スピリッツをベースとする代表的なカクテルをすべて試すことができた。カテゴリーに囚われず、先入観なしに、いろいろなカクテルを楽しめるのもTUMUGI の良さであることを実感した。

 

BAR倉吉大名店 長澤優斗さん 

BAR 倉吉大名店のバーテンダー長澤優斗さんは今年のTUMUGI COCKTAIL COMPETITION のチャンピオン。コンペ初出場ながら12 名のファイナリストの中から見事優勝の栄冠を手にした。昨年のチャンピオンはBAR 麦家(宮崎)の蛯原三奈さん。

長澤さんは優勝カクテル「TUMUGI dedolce」をつくってくれた。

「イタリアのデザートといえばマスカルポーネのティラミスなので、いろいろと試作しながら、見せるカクテルに挑戦した」という。

TUMUGI30ml、マスカルポーネ20mg、サツマイモ20mg、生クリーム10ml、お茶のシロップ10ml をブレンダーで混ぜて、グラスに注ぎ抹茶パウダーでデコレーションした。

TUMUGI の麹の甘さとボタニカルの華やかな香りをカクテルでうまく表現するために、鹿児島のさつま芋と佐賀の嬉野(うれしの)茶を使った。

味わいは濃厚だがしつこくない。生クリームとチーズとさつま芋の味わいが別々に感じられ、それらをつなぎ合わせる役をTUMUGIがしている。「ウオッカでも試してみたが、TUMUGI の方が断然良かった」という。

さらに、その場で創作カクテルをもう1つ作ってもらった。TUMUGI は和柑橘をボタニカルに使ったスピリッツなので、ラム、ジンのスタンダードカクテルであるダイキリ、ギムレットのツイストを楽しめるという。

TUMUGI35ml、カボス15ml、抹茶シロップ10ml を、氷を満たしたシェイカーにすべて入れ、シェイクする。それもハードシェイクだ。HBA の特別顧問を務める倉吉浩二氏直伝のハードシェイクした即興カクテルは本邦初公開。カクテル名は検討中だ。

抹茶シロップでカボスの青味を表現した。甘味と酸味のバランスが良く、TUMUGI のアルコールの伸びの良さも手伝って、ついつい後を引く味わい。

長澤さんは実際に工場見学をして、岡本さんからも話を聞いている。「TUMUGI はカクテルの素材の引き立て役。岡本さんからは造り手の熱意や、ボタニカル生産農家さんへの愛情がすごく感じられた」と長澤さん。

ずらりと世界中のお酒が並ぶバックバーを指さしながら、「この中に日本のスピリッツが1本あるだけでも落ち着く。それがスタンダードになって、世界でも広がっていくとすごく嬉しい」と締めくくった。 (A.Horiguchi)

 

つづきはWANDS 2017年10月号をご覧ください。WANDSのご購入・ご購読はこちらから デジタル版もできました!

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る