第4回目のフレッシュホップフェスト2018 10月28日まで全国にて開催中

今年収穫した国産ホップで造ったビールを楽しめるイベント「フレッシュホップフェスト2018」が、9月1日より全国で開催されている。今年はクラフトブルワリー52社が参加し、昨年の10倍に当たる1,000店舗以上の飲食店でそれらを提供している。この開催に際し、スプリングバレーブルワリーの田山智広マスターブリュワーがホップの最新事情について、和田徹 代表取締役社長がイベントについて、日本ビアジャーナリスト協会の藤原ヒロユキ代表が自ら手摘みしたフレッシュホップのビールについて解説した。

 

国産ホップを取り巻く状況

国産ホップの主要産地は東北4県と北海道で、2017年のシェアは岩手県、秋田県、山形県と続く。昨年の国産ホップ購入量はキリンが70%以上を占めており、キリンの契約栽培地は岩手県の遠野、江刺、秋田県の北部と大雄、山形県の南にある。

しかし、国産ホップの生産量は減少傾向にあり2005年の497tから2017年の273tと約半量まで下がっており、今年も廃業を耳にするなどまだ下げ止まっていない。特に2016年は台風のダメージが大きかった。ちょうど今(8月末)収穫の最盛期で、今年は台風による被害は一部のみでおさまったようだ。栽培者の高年齢化が減少の大きな原因である。

一方、クラフトブルワリーは全国各地で続々と誕生し、2016年で253軒だったのが2018年現在で314軒に増え全国46都道府県に存在している。クラフトビール市場は2016年で37,000klだったのが今年は45,000klまで伸長すると予測しており(キリンビール予測)引き続き成長する見通しだ。クラフトビールはホップを多く使用するため、地域や造り手の個性あるクラフトビールが生まれること、国産ホップ栽培にも活気が生まれることを期待している。

 

新たな動きとキリンの取り組み

クラフトビールの広がりをきっかけとして、全国各地でホップ栽培の新規就農が始まっている。東北だけでなく京都府与謝野町や大分県竹田市など西日本でも見られる。例えば竹田市は標高が高い阿蘇の近くだ。ブドウが育つ場所はホップも育つ。収穫は苗を植えて3年目から本格的に始まる。キリンでは国産ホップの株分けや技術支援を実施している。

また、遠野市の新農業生産法人「BEER EXPERIENCE社」への出資、「京都産原料100%ビールプロジェクト」への参画など、キリンはクラフトビールを軸にした新たな取り組みを始めている。国産ホップ「IBUKI」のフレッシュホップをクラフトブルワリーに向けて販売したり、フレッシュホップの使い方など情報共有も行なっている。国産ホップ「IBUKI」取り扱いブルワリーは年々増加し、今年は29社となった。さらに、新品種の開発も行っている。収穫期を分散できると効率が良くなるからだ。既に開発した「MURAKAMI SEVEN」の本格展開に向けて準備中で、これは海外産ホップにはないイチジクやマスカットの香りがあり、従来品種比で約1.5倍の収量があり省力化栽培も可能となる。次なる新品種のテスト展開を開始しており名称はまだ決まっていないが「代官山IPA」に既に使用している。これは、海外産にはない青リンゴの香りがし、晩生なのが特徴だ。

今後の国産ホップの進行について議論する「ホップサミット2018年秋」を、10月5日に開催する予定にしている。

 

フレッシュホップフェスト2018

フレッシュホップフェストは、今年収穫したフレッシュな国産ホップで造ったビールを楽しむお祭りで、一般の方に広める活動だ。昨年までの倍の期間、約2ヶ月にわたって継続する。全国に合計300あるブルワリーのうち52社が参加し、提供する飲食店は全国で1,000以上と広がった。52社のすべてが揃うフェスイベントは、銀座ソニーパーク内にオープンしたばかりの「BEER TO GO by SPRING VALLEY BREWERY」で10月6日から8日まで開催する。

9月から「フレッシュホップ 藤原ヒロユキ手摘みスペシャル」をはじめとし、収穫してすぐ新幹線や車で持ち帰り造る「生ホップ超特急2018 」シリーズや、「Hop Fest 2018」などを続々と提供する予定だ。(Y. Nagoshi)

 

WANDS2018年10月号は「日本ワイン・秋編」「ウヰスキーの新しい時代」特集です。
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