アルバリーニョに特化した ヴィーニョ・ヴェルデの造り手 ソアリェイロのルイス・セルデイラ来日

ソアリェイロは家族経営のワイナリーで、現在3代目となる。ポルトガル北部のヴィーニョ・ヴェルデで、1974年にジョアン・アントニオ・セルデイラが初めてアルバリーニョを植えた。その後94年にルイスが帰郷し、新たな時代が始まった。リゼルヴァ、スパークリングのロゼ、ナチュールなど様々な試みを行い常にとどまることがない造り手だ。

 

モンサン・イ・メルガッソの特徴

ヴィーニョ・ヴェルデには9つのサブリージョンがあり、ソアリェイロは最北部のモンサン・イ・メルガッソ地区にある。この北側を流れるミーニョ川がスペインとの国境だ。モンサン・イ・メルガッソは栽培面積1,730haのうち1,340haがアルバリーニョで、最も広く栽培されている。他地区では合計400haのみ。ヴィーニョ・ヴェルデとしてアルバリーリョが認可されているのもこの地区だけだ。

自社畑は10haで90%がアルバリーニョ。契約畑60haのブドウも使っている。アルバリーニョは、必ず主となる房と小さな房ができる品種で、果皮厚くて凝縮した粒が実る。

メルガッソは山がちな地域で標高が高く、北の川に向かって標高が低くなる。大西洋からの海風がもたらす湿気を含んだ空気は途中の1,000mの山にあたり雨を降らせる。だからここは、より内陸的な気候となる。7月から9月までの気温は、ドウロと同じぐらいまで上がる。しかし、ドウロよりは降雨量があるのでよりフレッシュだ。土壌に窒素が多いため豊かなブドウが得られ口当たりがよくなる。他のヴィーニョ・ヴェルデの産地より砂状の花崗岩で水はけがよいのも特徴のひとつだ。

 

ソアリェイロならでは

自社畑の仕立ては3種類。80%は高さ1.7〜1.8mの垣根仕立てで、枝を下に垂らし葉である程度房を隠す。19%はコルドンサンプルで、こちらはより日当たりがよい。1%が棚仕立てで、この場合は房が影に隠れるので酸の高いブドウが得られる。他の生産者は80%が棚仕立てで、スペインのアルバリーリョも多くはそうだ。リンゴ酸が多いため、スペインではマロラクティックにより丸みのある味わいにするからフレッシュな果実の香りが消えてしまう。ソアリェイロでは酸がそれほど高くないのでマロラクティックをしない。だから香りを高く保てる。多様性が最も大切なことだと考えている。同じだとつまらないから。

今、丘の麓の標高250〜400mの土地を開拓中だ。2017年のように暑い年には特に標高が高い場所の方がフレッシュでできがよい。ソアレイリョの畑には色々な草花が生えていて、ミツバチも多い。シロツメグサは土壌に窒素を与えてくれる。やはり多様性は重要だ。(Y. Nagoshi)

 

つづきはWANDS 2018年10月号をご覧ください。
10月号は「日本ワイン・秋編」「ウヰスキーの新しい時代」特集です。
ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る