山のスパークリングワイン トレントDOCを牽引するフェッラーリ 醸造責任者マルチェッロ・ルネッリ来日

ジュリオ・フェッラーリが1902年に創業したフェッラーリ社は、近年毎年のようにザ・シャンパーニュ&スパークリングワイン・ワールド・チャンピオンシップでの数々の賞を獲得している。その理由はどこにあるのだろうか。

 

1,000本から500万本へ

創業者のジュリオ・フェッラーリは、スパークリングワインの愛好者でドイツやシャンパーニュへ赴き学んだ後、トレンティーノへ戻り同時にシャルドネの苗木を持ち帰った。それ以来ずっとこの地ではシャルドネを主体にしているのが、トレントDOCの特徴のひとつでもある。当時は1,000本、2,000本といった少量生産から始まったが、今では年間500万本もの生産量で世界50か国へ輸出している大企業に成長した。しかし「哲学は120年間変わりない」と、醸造責任者のマルチェロ・ルネッリは言う。(中略)

 

常に改革を継続

規模が大きくなっても常に上質のスパークリングワインを求めて様々な試みを積み重ねてきたことが、くだんのコンクールなどの客観的な評価を上げることにつながっているのだろう。

たとえば「ペルレ・ミレジメ」は、「1971年が初ヴィンテージで、より複雑なものを造るためのプロジェクトとして始まった。ブドウの品質そのものが他とは異なり、100%自社畑のブドウを使用している」。60か月以上瓶内熟成しており、試飲した2013年は、熟したりんごの香りに加え、ナッツやトーストなど深みのある香りで、複雑性があり、クリーミーなテクスチャー。繊細さと豊さが共存し、とても余韻が長い。

左から「マキシマム・ブリュット」、「ペルレ・ミレジメ2013」、「ペルレ・ロゼ・リゼルヴァ2011」、「リゼルヴァ・ルネッリ2009」

開催されたマスタークラスの最中にプロジェクターで映し出された1960年頃の写真には、当時発酵に使用していた大きな樽があった。近代設備が整うにつれて大樽は一旦姿を消すことになったが、1990年頃から昔の造りを見直しトライアルを重ねた結果できあがったのが、2002年が初ヴィンテージとなった「リゼルヴァ・ルネッリ」だ。標高400〜700mもの高地にあるヴィッラ・マルゴン畑のシャルドネ100%を手摘みして、オーストリアのオーク大樽で発酵し収穫の翌年6月まで熟成させたワインをティラージュする。現在市場にある2009年ヴィンテージは、トーストやナッツといった熟成香も感じられ、ゆったりとした深みのあるクリーミーな味わいで、ドザージュ3g/ℓと極少量だがとてもまろやかだ。

また、フェッラーリでは瓶内2次発酵に自社培養酵母を使用している(1次発酵については発酵の正確性を求めるためニュートラルな酵母を使用)。これにより、独自の色を醸し出していると言える。瓶内熟成期間が長くなり、熟成による独特の香りが現れ始めても、しっかりと果実の香りが存在感を表しているのも、フェッラーリならでは、ではないだろうか。

 

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