多様なテロワールを表現する ルーションのライジングスター ドメーヌ・ラファージュ

フランスの最南端に位置するルーション地方は、南北をアルベール高地とコルビエール高地に挟まれ、内陸の入り組んだ丘陵地から地中海に向かって開けた扇状地一帯へとブドウ畑が広がっている。東の海から標高3000mの山嶺までの距離はわずかおよそ30Km。しかし、この狭い一帯に点在するブドウ栽培地は、標高も斜面の向きも土壌も実に多様で、“ モザイクのテロワール”と言われる。

コート・デュ・ルーションは、昔からバニュルスやモーリー、リヴザルトの各クリュでつくられるヴァン・ドゥー・ナチュレルの産地として知られてきたが、シラーやグルナッシュ、カリニャンなどの伝統品種から造られるスティルワインの優れた産出地でもある。ほとんど顧みられることがなかったこの地を、わずか20年にして世界中が注目する産地へと押し上げた造り手の一人が、「ドメーヌ・ラファージュ」のオーナー、ジャン=マルク・ラファージュ氏だ。輸入元のひとつ、イオンリカーが開催した“ワールドワインフェス 2018”に合わせて来日したラファージュ氏に自らが造るワインについて話を聞いた。

 

モーリー出身のジャン= マルクはワイン造りの家系の6代目。父親の代まではバルクワインビジネスを行っていたが、父から26haの畑を引き継いで「ドメーヌ・ラファージュ」を興したのは1996 年のことだった。最初の年のワイン生産量はわずか3000 本。しかし、2000 年代に入ってテロワールにフォーカスしたワインづくりを進めるべく、ルーション各地に畑を拡張。今では、延べ160haの畑から年産200万本のエステートワインを産出している。また、2007年からは同じアグリ渓谷にある歴史的なエステート、シャトー サン・ロック44haを所有し、こちらも年間約50万本を生産。さらに、買いブドウを使ったお手頃価格のネゴシアンブランド「テセラエ(Tessellae)」と「ノヴェラム(Novellum)」も手掛けている。

ジャン= マルクはモンペリエ醸造大学卒。大学を卒業した1992 年から、同窓だったエリアーヌ夫人とともにカリフォルニア・ガロの研究所勤務を皮切りに、シャンパーニュでマスターを習得、さらにオーストラリア、南アフリカ、チリでワインづくりを行ってきた。今でもチリ、シャブリ、スペインなどでコンサルティングを行っているフライングワインメーカーでもある。

「自分が造るワインは、ワインファミリーとしての伝統と近代的なワイン造りのコンセプトを融合したもの。ルーションはとても乾燥し、冬は寒く夏は暑い気候。土壌は貧しく、北西風トラモントは年間通して吹いている。こうした厳しい環境下で国際品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを育むことは難しい。一方、ルーションには2000年来続いてきたグルナッシュ・ブラン、同グリ、同ノワール、カリニャン、シラー、ムールヴェードル、ヴィオニエなどのこの土地にあった在来品種がある。自分のエステートでもブドウ樹の50%以上は樹齢50年以上、そのうち3%は樹齢100年を超えたブッシュヴァインだ。そうした品種を灌漑無しで栽培し、低収量で収穫し、テロワールを反映したワイン造ることが自分の仕事だと考えている。他の人からは自分が造るキュヴェの数はあまりに多すぎるといわれるが、異なるテロワールのワインをブレンドすることで複雑味が増す。少しでも良いワインを造ろうとすれば、当然のことだろう」。

共に醸造家であるジャン= マルク&エリアーヌ夫妻。ジャン= マルクは主に赤ワイン、エリアーヌは白とロゼを担当しているが、アッサンブラージュの時は一緒に協力し合ってやっているという。

 

つづきはWANDS2019年1月号をご覧ください。

1月号は「ブルゴーニュワイン、イタリアワイン、ウイスキー」特集です。
ウォンズのご購読・ご購入はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!

関連記事

ページ上部へ戻る