ナパの「ルビコン」が「イングルヌック」に名称変更した。
イングルヌックには“安いジェネリックワイン”というイメージしかない。なかでもヒューブライン時代に造られた18ℓ容量のジェネリックワインの印象が強い。それはこのブランドが1964年から2011年にかけて買収の歴史に翻弄されてきたからだ。
イングルヌック・ヴィンヤードは1879年にグスタフ・ニーバムによってナパ・ヴァレーに設立された。ジョン・ダニエルがワイン造りの指揮をとりイングルヌックの商標は高い評価を得ることになる。そのおかげでナパ・ヴァレーも素晴らしいワイン産地として世界に知られた。
ナパ草創期のイングルヌックにはとても輝かしい歴史がある。しかし1964年以降は商標も葡萄畑も売却されワイナリーも放置されたままになった。フランシス・コッポラが1975年にその敷地を購入し、シャトーを改築してワイン造りに乗り出した。売却されていた葡萄畑も約20年かけて買い戻し、醸造設備も整備した。
そして2011年4月。ついに「イングルヌック」の商標も買い戻すことができた。そしてルビコン・エステートの名を本来の歴史的な名称であるイングルヌックに戻したのだった。
さらに新生イングルヌックは新しいワイナリーの支配人兼醸造家にボルドーのフィリップ・バスコールを指名した。バスコールはシャトー・マルゴーで20年間働き、エステート・ディレクターを務めた実績がある。
バスコールは、「イングルヌック1959年をテイスティングしてその新鮮さと複雑さに驚かされた。2009年のサンプルからはこの畑の持つ潜在力の大きさを確認した。イングルヌックの潜在力を十分に表現したワインを造るために新しい手法でアプローチしたい」と語っている。
(K.B.)
バスコールが造ろうとするワインの姿については、「ウォンズ」本誌「3月号」P.58をご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから
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