- 2026-8-3
- NEWS, Wine, オーストラリア Australia

2026年6月26日、キャプラン・ワインアカデミー東京青山教室で「Barossa Wineries Experience Tasting」が開催された。協賛はバロッサ・オーストラリア。講師はバロッサ在住のバロッサマスター、アンソン・ムイ氏。香港生まれオーストラリア育ちで、バロッサのプロモーションに10年以上携わる。東京での開催は5年目を数え、今回はワインツーリズムをテーマに、12のワイナリーが提供するアクティビティと、それぞれのワイナリーのワイン1種を紹介した。
産地データ
バロッサはバロッサ・ヴァレーとイーデン・ヴァレーの2つのサブリージョンで構成される。「温暖なバロッサ・ヴァレーに比べ、イーデン・ヴァレーは標高が上がり2〜3℃涼しくなる。温暖な気候と冷涼な気候をひとつの地域の中に併せ持つ、世界でも珍しい産地」と、ムイ氏。「オーストラリアには65のワイン産地があるが、バロッサは畑面積で約10%を占める一方、破砕量では約4%にとどまる。低収量のプレミアム産地」と解説した。
地域全体の畑面積はおよそ14,000ha。内訳はバロッサ・ヴァレーが約11,600ha、イーデン・ヴァレーが約2,200haである。
2009年に導入された古木の格付け「Barossa Old Vine Charter」は樹齢35年・70年・100年・125年の4段階に分かれている。シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、グルナッシュ、マタロ、セミヨン、リースリングなどの古木が残るが、中でも最古のシラーズは1843年に植樹された。
「こうした古木は、樹齢が高いから良いのではない。品質の良いブドウを実らせるから、抜かれずに残った。悪ければ、とうに植え替えられている」と、ムイ氏。加えて古木は厳しい年を何度も経験している分、難しいヴィンテージでも品質が安定するという。
ワインスタイルについては、地域で樽の使用は減少傾向にある。「市場トレンドの影響もあるが、造り手が自分たちの土地の理解を深めているということだ。樽で化粧をしなくても、果実味の表現力で勝負できる。そのような自信を持つワイナリーが増えている」とムイ氏は言う。
セラードアという入口
バロッサはワインツーリズムが盛んで、セラードアを構えるワイナリーは100軒以上、加えて20軒あまりが事前予約制で受け入れる。ワイナリー7軒が共同運営するセラードア兼レストラン「アルティザンズ・オブ・バロッサ」のように、複数のワイナリーのワインを一度に試せるフライトを用意する施設もある。またバロッサはオーストラリア独自のレストラン評価『シェフ・ハット』を獲得する店も多く、食の水準の高さでも知られている。
以下は試飲セミナーで供されたワインの一部。各ワイナリーで体験できるアクティビティとあわせて紹介する。
Schubert Estate “Le Jars Blanc” 2025(バロッサ・ヴァレー)
ヴィオニエ。古樽で発酵。一部MLF。リンゴ、ライチ、黄桃の香り。口当たりはクリーミーで、塩気が伴う。ロブスターなど噛みごたえのあるシーフードに。
ドイツ系の家族経営。改装した宿泊施設を持ち、専属シェフを予約できる。窓を開けば畑、隣はセラードアという滞在が可能。
Peter Lehmann “Black Queen” Sparkling Shiraz 2021(バロッサ・ヴァレー)
瓶内二次発酵による赤のスパークリング。スミレ、カシス、オリーブ、カカオ。バロッサではこのスパークリング・シラーズをベーコンエッグサンドで朝から飲む習慣があり、この組み合わせを地元の人々は「バロッサの朝食」と呼ぶ。クリスマスや誕生日など、祝いの席の定番でもある。
大規模ワイナリー。プレミアム・テイスティングのほか、ピクニック、企業イベント、ウェディングに対応。屋内300名、屋外は5,000名超を収容する。
Mirus Vineyards “Mirus Block 18” Grenache 2023(バロッサ・ヴァレー)
50%を古樽で醸造。ややミンティーで杉を思わせる香り、黒い果実。なめらかでシームレスなテクスチャーに、若々しいタンニン。樽を減らす近年の潮流を体現する一本。
セラードア名は「ワンダーグラウンド(Wonderground)」。現代アートのギャラリーを併設。ヨガや絵画の一日クラスもあり、ワインを飲まない同行者でも過ごせる。ワインの講座も開かれている。
Hayes Family Wines “Estate” Mataro 2024(バロッサ・ヴァレー)
マタロ100%、オーガニック栽培。ブラックベリーとゲーミーな香り。タンニンは強く、口中を乾かすドライな質感。酒精強化ワインが生産の中心だった時代、マタロはバロッサで最も重要な品種だった。
ワイナリーオーナーが行きつけのレストランへ同行し、そこで食事とともに自社ワインを楽しむプログラムを用意する。酒精強化の自家ブレンド体験もある。
Langmeil “Freedom 1843” Shiraz 2022(バロッサ・ヴァレー)
1843年植樹、世界最古のシラーズの単一畑。クランチーな黒い果実に、クローヴ、キノコ、皮革。酸と柔らかく溶けたタンニンのバランスが秀逸。
Barossa Old Vine Charterの4カテゴリーの全てワインを揃えており、樹齢ごとの飲み比べができる。世界最古の畑を訪ねるプログラムも。
Two Hands Wines “Holy Grail” Shiraz 2022(バロッサ・ヴァレー)
ヴァレー西部の単一畑。ローズマリーを思わせる深みのあるアロマ。黒い果実にたっぷりとした酒質、緻密なタンニン。「ヴァレー北部ほどではないが十分に力強い」とムイ氏。
スコティッシュ・ハイランド牛を飼育しており、ツアー参加者は餌やりや触れ合いができる。イーデン・ヴァレーとバロッサ・ヴァレー双方の畑を回り、二つのサブリージョンの違いを体感できるツアーもある。
Henschke “Mount Edelstone” Shiraz 2019(イーデン・ヴァレー)
1912年植樹。仏オークの新樽20%・古樽80%で18か月熟成。酸が縦に伸び、スパイス、余韻にブルーベリー。オーストラリアで最も長い歴史を持つ単一畑ワインのひとつ。バイオダイナミック農法を実践する。
かつては小さなセラードアだったが現在は改装済み。最も有名な Hill of Grace の畑を訪ねて試飲する「Hill of Grace Experience」を用意する。
Yalumba “The Signature” Cabernet Sauvignon Shiraz 2022(バロッサ・ヴァレー)
カベルネ・ソーヴィニヨン51%、シラーズ49%。18か月熟成。ユーカリ、ホワイトペッパー。張りがあり、黒い果実と樽の香りが顕著。51回目のヴィンテージにあたる。
1847年創業、オーストラリア最古の家族経営ワイナリー。自社の苗床と樽工房を持ち、見学ツアーがある。昔の地下の発酵槽をプライベートダイニングに改装し、「シェフ・ハット」を持つ自社レストランの料理を楽しめる。
(N. Miyata)
















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