百合草梨紗さんのシャトー・ジンコ、2019年よりオーガニック認証取得

4年ぶりに会った百合草梨紗さんは、以前よりずっと落ち着いて堂々として見えた。ボルドー地方も、今年は例年より2週間も収穫が早く始まった。その仕込みを終え、2週間の隔離期間を経た百合草さんと歓談した。まだ樽熟成中という2019年のサンプルを持参していた。

 

 

「2019年は、あと1年半熟成させますが、今までで一番よいヴィンテージです」と、嬉しそうだ。たっぷりとした果実味があり、凝縮感もあり、タンニンも豊かながらミドルパレットが充実していて一体感のある味わいだ。

「ピュアな果実味と濃厚なタンニンがあるのが、シャトー・ジンコ。このクリアでピュアな味わいを生むには自然なつくりが近道だと思い、2015年に始める時から栽培はオーガニックです」。

10年間ネゴシアンとしての経験を積む中で、理想のワインの姿が出来上がっていたようだ。

農薬や化学肥料は使用しない。剪定した枝や搾汁後のマストなどでコンポストをつくる。バイオダイナミックで使用されるハーブのプレパラシオンも使っているし、畑の作業も月のカレンダーに従って行っている。

「2月に来てもらいました」と、2,700頭の羊たちの写真も見せてくれた。草を食み、土のためにオマケを置いていってくれる。

 

母岩が石灰質で1.5mの粘土質土壌ある畑は、サンテミリオンの土壌の流れで、ブドウ品種は全てメルロ。樹齢35年の1.5haに加え、隣接する樹齢80年が植わる0.15haも加わった。この畑が、ようやく有機認証を取得して2019年のボトルから表示できるようになった。

「味わいも情報も、クリアーにしたい」という百合草さん。

「ブドウの味をそのまま味わってほしい」から、天然酵母のみを使用し、ステンレスタンクで醸造するが電気は使わず、ほぼフリーランのみを500ℓの樽で熟成させ、マロラクティックも自然に行う。SO2は瓶詰め前にだけほんの少量添加。オリ引きも1回だけで、フィルターもかけない。

 

2016年の初ヴィンテージを出した頃には「自分が美味しいと思うワインが、受け入れられるかどうか、とても緊張していました。でも今は、方針を曲げなくてよかったと思っています」。この数年で確信が生まれたようだ。

「光学式の選果器を使い、オリ引きして、と同じようにしていたら、味も同じになってしまって面白くないと思うのです。たとえ美味しくないという人がいても、ジンコだとわかるワインを造りたい」と、力強い。

2020年は、ブドウを足で潰してみようかとも思っていたそうだ。ただ、すぐに抽出されたので、軽いピジャージュだけにとどめたという。まだこれからも、手作り感溢れる作品が続きそうだ。

(Y. Nagoshi)

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