特集/南アフリカワイン/レポート KWV

英国のDrinks International誌が発表しているGlobal Wine Brands Top 50のなかで、南アフリカから唯一リスティングされているのがKWVだ。KWVは南アフリカにおけるワインとブランデーの最大の輸出業者であり、現在は世界100か国以上に輸出を行っている。文字通り、販売量と製品イメージの両面で南アフリカワイン産業を代表する造り手だ。

KWV は故ネルソン・マンデラ大統領が誕生したのと同じ年1918 年に、ワイン造り350 年以上の歴史を誇るパール地区で誕生した。再来年には創業100 周年を迎える。正式名称はアフリカーンス語で“Ko-operatieve Wijnbouwers Vereniging Van Zuid-Afrika Beperkt” ( 南アフリカブドウ栽培家協同組合)、その頭文字の一部をとってKWV と呼ばれている。

南アフリカでは19 世紀後半、ヨーロッパで猛威をふるったフィロキセラ禍が飛び火し葡萄栽培は壊滅的な打撃を被った。20 世紀に入ってようやく立ち直ったかに見えたワイン産業だが今度は逆に生産過剰に陥り、栽培農家が存亡の危機に晒されることになった。こうしたなかで、葡萄の最低取引価格を設定し栽培農家を保護する目的で設立されたのがKWV だった。創業から間もない頃、13 年間にわたりKWV の専属エノロジストを務めていたのは、固有品種ピノタージュの産みの親、アブラハム・ペロード教授だった。その後、南アフリカに対するサンクションが解け、世界の輸出市場が開かれるようになったことに伴い、KWV は1997 年に株式会社に改組され、世界各国へとワインの輸出を拡大してきた。まさに、南アフリカワイン産業の近現代史をそのまま体現し、その発展をリードしてきた存在だといえる。さらに、2012 年には投資会社Niveus Investment が最大株主となっているが、現在もおよそ4500 の農家が株主として存在し、ウエスタン・ケープ各地における最良の葡萄供給源としての役割を担っている。これがKWV のワイン造りを質量ともに支えている最大の特徴だ。(M. Yoshino)
画像:カセドラル・KWV本社内にあるプレミアムワイン専用のカセドラル・セラー

つづく/これ以降の内容につきましては、「ウォンズ」本誌「2月号」P.22〜23をご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから

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