ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドーのマスタークラス 2018年ヴィンテージのプレゼンテーション

ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(以下UGCB)は11月22 日、ワイン業界関係者限定50名を対象にマスタークラスを開催した。ボルドーと日本をオンラインで繋ぎ、UGCB会長ロナン・ラボルデ氏と4シャトーの生産者がそれぞれ2018年ヴィンテージのプレゼンテーションを行った。「ロオジエ」ソムリエの井黒卓氏が、ゲストコメンテーターとして4生産者のワインの試飲をナビゲートした。

ラボルデ氏によれば、UGCBは、ジスクール、オーブリオン、イケムなどの生産者らが纏まって日本に出張した1973年に生まれた。既にグラン・クリュのシャトーは知られた存在だったが、活動はバラバラで、出張してまでプロモーションを実施する習慣はなかった。当時はまだ、日本市場がさほど重要視されていない時代だったが、今やワイン文化が根付き、世界でもソムリエの数が多い国である。日本に輸入されているボルドーワインの40%がグラン・クリュと、大きな市場であり、歴史的にも強い関係にある。謙虚で、最高のものを追求する姿勢という共通点あるからだと、ラボルデ氏は見ている。

4つの地区からのシャトーによる2018ヴィンテージの紹介、そして井黒氏のコメントは以下の通り。

1.シャトー・マラルティック・ラグラヴィエール

1953年に赤白共に格付けされたグラーヴのシャトー。ソーヴィニョン・ブラン9割、セミヨン1割で、セミヨンは涼しいところに植えている。2018年の夏は日照に恵まれ乾燥していたためフレッシュでフルーティなスタイルを目指す造り手としては不安が大きかったが、この気象条件にも拘わらず、地下の石灰質層のおかげで、密度は濃くありながら輝くような酸味のあるフレッシュ感あふれるワインに仕上がった。

[井黒氏コメント]

白い花の香り、熟したマイヤーレモン、柑橘の皮、ソーヴィニヨン・ブランに由来するフェンネルなどのハーバルな香り。グラーヴらしい厚みやクリーミーさが酸に支えられたテンション。フェノリックなビター感も大きな特徴。

 

  1. シャトー・ボー・セジュール・ベコ

1953年にサンテミリオンの格付けに選ばれたシャトーで、家族経営を続けており現在3代目。粘土石灰質土壌はスポンジのように水を含み、ブドウの根が水を求めて地下7~8mまで下がってくる。2018年は乾燥していたためグリーンハーベストをしなかった。好天続きゆえ収穫は急がず長期間で行い、なるべく朝の涼しいうちに収穫した。比率はメルロが常に多く、この年は80%。カベルネ・フランは18%で年々比率が増えて来ている。残り2%がカベルネ・ソーヴィニヨン。

[井黒氏コメント]

2018年からディレクターが変わり、アンフォラを使ったり、トレンドに則り新樽比率下がって来たりしていて好感を持っている。ボイゼンベリーやベリータルト、リコリスの甘い風味。石灰質由来の酸による黒鉛のようなミネラル感。バックボーンがしっかりしていて、アルコールの高さを感じさせない多層的な味わい。

 

  1. シャトー・ラグランジュ

サンジュリアンの標高5〜24mに広がる103の区画は、1855年のメドック格付けグラン・クリュ第3級格付け以来、変わっていない。 2018年は9月20日にメルロの収穫が始まり、1日4~8haずつ順序良く24日間かけて終了。乾燥した夏が影響してかつてないリッチな年となり、2003年以来の小粒だった。アルコール度数14.76とかつてないほど高く、バランスを取るのが難しかった。

[井黒氏コメント]

穂紫蘇やペッパーなどの香りで、すごい凝縮感。熱っぽさあるので、少し冷やし気味でフレッシュさを味わってほしい。20年以上経っても楽しめる、間口の広いワイン。

 

  1. シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌ

1953年の格付けでソーテルヌ第2級。粘土石灰質土壌がソーテルヌに典型的なフレッシュ感やミネラル感をもたらす。貴腐を待つため収穫開始は遅く、畑に4~6回入って行う。シロン川の湿気による朝靄の発生が大きな役割を果たす。2018年は10月2日から 11 月 10 日に、間を置いて21日間に亘り収穫した。房選りと粒選りで、フレッシュに貴腐菌が付いたものを選ぶことできた。ヘクタールあたり20hℓはソーテルヌやバルザックでは適正。この年の特徴は糖度とアルコールと香りのバランス。バルザックの典型的な香り、味わい、余韻があり、早くから楽しめるし長期保存もできる。

[井黒氏コメント]

マンゴー、ミツロウに加えて柑橘の爽やかさは、このシャトーの特徴。フレッシュなソーテルヌとバルザックは、デザートだけではなく、ぜひ食前にも楽しんでほしい。

(Saori Kondo)

関連記事

ページ上部へ戻る