- 2021-9-29
- Wines, 南アフリカ South Africa
ドメーヌ・ミシェル・コラン・ドレジェを立ち上げたミシェル・コランの長男、フィリップ・コランは2004年にドメーヌ・フィリップ・コランとして独立した。シャサーニュ・モンラッシェをはじめ、ピュリニー・モンラッシェ・プルミエ・クリュ・レ・ドゥモワゼルやグラン・クリュ・シュヴァリエ・モンラッシェなどでも知られる造り手だ。そのフィリップ・コランが、2014年8月に南アフリカのフランシュックでワイン造りを始めていた。
「トピアリー・ワイン・エステート」という名のワイナリーで、フランスからユグノー派が逃れて拓いたフランシュックの一角にある。食文化をはじめフランス色が豊かである一方、広大な景観は南アフリカならでは。このエステートの64haの敷地は、2005年から果樹園であったようだ。ブドウは1998年に土壌分析をした上で20ha植樹された。テーブルマウンテンの砂岩由来の砂やクオーツが主体の土壌で、今でも様々な果樹も植わっていると言う。
植えられた品種は、シラー8ha、カベルネ・ソーヴィニヨン10ha、シャルドネ2ha。いくつかの山々に囲まれた場所で、ウェマースフック山の麓にあるなだらかな傾斜の畑。南に位置するグルートドラケンシュタイン山とフランシュック山が、海風から守る役割を果たしている。大陸性気候で、基本的に重厚な赤とリッチで果実豊かな白ができるが、山々の間から涼しい風が吹き込んでくるためハングタイムが長いのがこの産地の特徴のひとつ。水はけが良い土壌のため、灌漑も必要になる。
フィリップ・コランと南アフリカの接点はいずれ尋ねてみたいと思うが、南仏の有名ソムリエ セルジュ・ジャキンスキがビジネス・パートナーのようだ。
コラン兄弟は、比較的兄のフィリップがエレガント派、弟のブルーノがリッチ派というから、フィリップが南アフリカでどのようなシャルドネを造るのかが最も気になるところ。日本へ入荷したのは、「シャルドネ」、「シラー」、「カベルネ・ソーヴィニヨン」、「イノセンス」の4銘柄で10月1日から発売開始。
トピアリー シラー2016
早朝に手摘みし、3日間低温浸漬。発酵後にフレンチオークで12か月熟成。アルコール度数13.5%。 熟したチェリーやプラムなどの果実に、ほどよいスパイスが加わる香り。なめらかなアタックにフレッシュな酸、そしてストラクチャーもしっかり。強すぎない豊かな味わいで、メリハリがきいている。果実の熟度が高く、フレッシュ感もありボリュームもあるので、酸もタンニンも果実に包まれている心地よい飲み口。
トピアリー カベルネ・ソーヴィニヨン2016
オープントップのタンクにて自生酵母で発酵。228ℓのフレンチオーク(10%新樽)で熟成。アルコール度数13.5%。 熟した黒い果実と黒系スパイスが融合した香り。こちらもなめらかで心地よいテクスチャーで、タンニンを包み込んでいる。強すぎない豊かな味わいで、ゆったりとしてバランスが取れている。
トピアリー イノセンス2017
手摘みし、3日間低温浸漬。発酵後にフレンチオークで12か月熟成。アルコール度数14%。こちらは、カベルネ・ソーヴィニヨン3分の2、シラー3分の1のブレンドの上級キュヴェ。 スパイスや熟したプラムやチェリーなどの香りが豊かで、ほのかに香ばしさも感じるが表立たない。とてもなめらかなアタックで、口中で果実の香りが華やぐ。シラーを思わせる紫色の花など。酸も細やかなタンニンも果実味とボリューム感に包まれていて、単体でも楽しめそうな充実感。
トピアリー シャルドネ2017
早朝に手摘みし、ステンレスタンクにて自生酵母で発酵。450ℓの「ルソー・ピアノ」のフレンチオークで12か月熟成。樽熟成中バトナージュは2週に1度行う。アルコール度数13.5%。 熟した桃や梨、そしてほんのりと香ばしさも感じられる香り。なめらかで、厚みがありバランス良い、バタリーな味わい。柔らかなタッチで、口中でさらに香りが広がる。エレガントというよりはリッチという言葉を使いたくなるが、重いわけではなくバランスが取れており、果実の熟度の高さを実感する。本拠地ブルゴーニュでも、樽の大きさは450〜500ℓ。樽の影響を最小限に抑え、果実の姿をそのまま反映したい意向だ。
赤・白いずれも、おおらかさが感じられる味わいだった。南アフリカというブルゴーニュとまったく異なる環境でのワイン造りだが、フィリップ・コランはその違いを楽しんでいるかのようだ。
発売開始は10月4日月曜日を予定している。
(Y. Nagoshi)
輸入元:ラック・コーポレーション
最近のコメント