Les Création de 2008 KRUG メゾン クリュッグ 千住明氏率いるオーケストラと響宴

メゾン クリュッグは、クリュッグ シャンパーニュと音楽との共鳴を「ミュージックペアリング」と称して感動や歓びを伝え続けている。今年は、世界的ヴァイオリニストの古澤巌氏が作曲し3挺のストラディヴァリウスで奏でる3曲も披露した。

そしてこの秋、クリュッグラヴァーとしても知られる作曲家の千住明氏が、クリュッグが2008年のブドウを用いて創りあげた2つの作品に対して特別に楽曲を提供。千住氏の指揮によりオーケストラが鳴り響いた。

 

最初にグラスに注がれたのはこの銘柄。

KRUG GRANDE CUVEE 169th EDITION  ID 120004

169番目のエディションは、2013年がベースワインで現在市場にある最新のグランド・キュヴェ。トーストやスパイシーな香りより熟した果実のトーンが強く、厚みや丸みがありながらとてもフレッシュ。この液体をどのように「音」で表すのだろうかとワクワクした。

「演奏者でクリュッグラヴァーの友人たちに好きなように弾いてもらい、私がバックグラウンドを作りました」と、千住氏。

曲名は “Moon & Bubbles” for Orchestra, 2021 Based on “on the Black keys, Krug Sound 2013”

フレッシュな酸は、繊細な高音で表現されている。ゆったりと流れるベースなどの低音が全体を下支えして複雑性を醸し出す。なるほど! と納得。千住明さんが、本当にクリュッグを愛してやまない様子が最初から滲み出るようにわかる。

では、今回の主題”2008”年のひとつの顔であるヴィンテージ2008年に合わせて、どのような曲が生まれたのだろうか(ただこのヴィンテージは日本では入手困難とか……)。

KRUG 2008 ID 419044

清涼感の溢れ、香りからもタイトな印象が伺える。やはり偉大なヴィンテージ2008年には、このキリッとした引き締まったニュアンスが刻印のように押されている。まだ少しシャイながら、口に含めばしなやかでシームレス。上品、且つ大変なめらかだ。

千住氏は2008年を「クラシック・ビューティー」と命名した。

”CLASSIC BEAUTY” for Masters’ Ensemble, 2021

メゾンからの「指示書」についても少々教えてくれた。まるでオペラの台本のようだったと言う。それぞれ違うメロディーラインを。しかし、不協和音はなし。成長する植物を表すような軽やかさや楽しげな様子。大河が流れるような雄大さ。余韻はミネラリー。ゆったりと吹く風。煌めき。そして落ち着き。

ピノ・ノワールは、中低音の弦楽器。シャルドネは、オーボエやフルートなどの管楽器。

なくてはならないふくよかさを与えるムニエは、ほわりとするホルンのような管楽器。

そしてバックグラウンドである土壌は、低音のコントラバス、チェロ、時にはビオラがその役割を果たす。

どれがクリュッグからの指示書の言葉で、どれが千住氏の言葉かわからなくなった。それほど千住氏はクリュッグを愛し、自らの作曲と重ね合わせているのだろう。

曲を聴きながら、解説を聞きながら、その創作活動の元となるクリュッグを味わうと、なるほどなるほど、と何となくわかる。全部はわからない。けれども共感を呼ぶ。それが芸術なのだろう。そして、間違いなくとても心地よい時を過ごせる。贅沢なひとときである。

KRUG GRANDE CUVEE 164th EDITION  ID 316031

そして最後にもうひとつの顔、グランド・キュヴェ。164番目のエディションは、ベースワインが2008年で最も古いヴィンテージが1990年。フレッシュで少しシャイ。でも深みがある香り。味わえば、丸みがあり奥深く、ふっくらした印象もあリ、何とテクスチャーの美しいこと。バランスが絶妙で余韻の最後の最後までとっても綺麗だ。

まさに寛大、雄大という言葉が当てはまる。あまりにもおいし過ぎて曲についてのメモがとても少ないのに気がついた。喩えるなら高音から低音まで全てが揃っている。これが職人技でありブレンドの妙である。

曲の名前は “IMMENSE GENEROSITY” for Symphony Orchestra 2021

千住氏による楽曲はKrug Echosで視聴可能。 (Y. Nagoshi)

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