イタリアを代表する白ワイン「ルガーナ」の熟成可能性

北イタリアで造られる白ワイン、ルガーナの売れ行きが好調だ。販売量が毎年伸びていて、2018年は1750万本、2019年は2200万本、2020年は2450万本、2021年には2700万本と目覚ましい。もともと海外市場で人気が高いワインで70%以上が輸出されるが、近年はイタリア国内でも人気が沸騰している。2021年には国内市場で46%の伸びを示し、イタリアで最も伸びたワインとして認められた。知名度も高くなり、イタリアを代表する白ワインの一つとしてレストランのワインリストにも欠かせなくなってきた。

「この10年間ずっと順調な成長が続いている。何よりも重要なのは高品質ワインとしての地位を確立したこと」と話すのはルガーナ協会のエットレ・ニコレット会長。

ルガーナは清らかなアロマを持つワインで、白い花や柑橘類を感じさせる香りはとても爽やかだ。口中では活力に満ちた勢いのある味わいで、強靱な酸とミネラルを感じさせる。細身で、軽やかさを感じさせるワインだが、持続性があり、後口に心地よい塩味を感じさせる。幅広い料理に合うワインで、鮨、天麩羅、懐石などの和食との相性も抜群だ。

産地はイタリア最大の湖ガルダの南湖畔に広がる氷堆石平野で、氷河が運んできて堆積させたミネラル豊かな粘土土壌が、強いミネラルを感じさせるルガーナを生む。その南の丘陵は丸い小石や砂利の多い典型的氷堆石土壌で、こちらは果実味豊かな、やさしい味わいのルガーナを生む。ガルダ湖の北東にあるドロミティ山塊が寒い北風を防ぎ、大きな湖が温度差を和らげるので、ルガーナ産地の気候は温暖で、ブドウは見事に成熟する。使われる品種はトゥルビアーナ(トレッビアーノ・ディ・ルガーナ)で、酸とミネラルが強いことで知られる。

5つのタイプがあり、ベースのルガーナは爽やかなワインだ。スペリオーレは最低1年熟成させたもので、アロマと果実味が華やかになる。リゼルヴァは熟成期間が最低2年(うち6ヶ月は瓶熟成)で、熟した果実にスモーク香や火打ち石のニュアンスが混ざり、複雑な味わいだ。ヴェンデンミア・タルディーヴァは遅摘みしたブドウを使って造られる。スプマンテは爽やかなシャルマ方式のものも、複雑な瓶内二次発酵方式のものも造られる。

 

若いルガーナの溌剌とした味わいもとても魅力的だが、実は長期熟成能力も高い。2020年9月に行われたルガーナ協会の30周年を記念した試飲会では古いヴィンテージ(最も古いものは1995)が紹介され、その破格の熟成能力が称賛された。今回はルガーナの熟成を知るために協会から熟成したヴィンテージを送ってもらい試飲したので紹介したい。

 

Lugana Annata Storica 1999 生産者はCa’ Lojera

最も厳格で、長期熟成能力の高いルガーナを造る生産者。そのワインは若い段階では閉じていて、無口な印象を与えるが、10年を超えたあたりから見事に変身する。この1999も色は黄金色だが、香りは全く酸化を感じさせず、黄色い花や黄色い果実を感じさせるものの、蜂蜜などのニュアンスはまだ出ていない。味わいもみずみずしく、レモンを想起させるシャープな酸が清らかで、若々しい。全くバランスが崩れていないのは見事。

Lugana Superiore Molceo 2007  生産者はOttella 

安定感のある生産者で、モルチェオはガイドブックなどでも常に高い評価を得ているワイン。15年の時を経ても全く酸化のトーンはなく、香りはフレッシュで、リンゴ、洋梨を感じさせ、かすかにスモーク香が混ざる。味わいはしなやかで、若々しく、適度のミネラルが心地よい。

Lugana Riserva Vigne di Catullo 2009 生産者はTenuta Roveglia

歴史ある名門が造るルガーナを代表するワイン。平野部の粘土土壌からくる堅固な酸とミネラルが特徴。24ヶ月ステンレスタンク熟成。香りは熟れた洋梨に少し蜂蜜のニュアンスが混ざり、包み込むような味わいだが、後口に強いミネラルを感じさせ、余韻が長く続く。食事を呼ぶルガーナ。

Lugana Superiore Madonna della Scoperta 2011 生産者はPerla del Garda

生産地区南部の氷堆石丘陵にあるワイナリーで、華やかな果実味を持つルガーナを造る。パイナップル、マンゴーを感じさせる香りで、みずみずしい味わい。

Lugana Riserva Serce’ 2015  生産者はFeliciana

少し遅摘みのニュアンスを感じさせる香りで、煮込んだリンゴ、洋梨のアロマに繊細なスモーク香が混ざる。味わいはフレッシュで、爽やか。

Lugana Torre 2016  生産者はCitari

まだ非常に若々しく、ルガーナは最初の5年は非常に緩やかに熟成することがわかる。引き締まった味わいで、躍動感がある。

 

今回試飲した6本からも、ルガーナの熟成能力の高さははっきりと見て取れた。印象的だったのは完璧なバランスを保持したまま緩やかに熟成していくことだ。若い段階で感じられるルガーナの爽やかさ、清らかさは20年の熟成を経ても完璧に残っている。熟れた果実や蜂蜜のニュアンスはほとんど出ず、繊細なスモーク香と火打ち石のニュアンスが感じられる。熟成能力が高いだけでなく、若々しさ、引き締まった味わいを保ちながら、優美に熟成していることがとても興味深かった。

(Isao Miyajima)

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