三つ星レストランでサーヴィスされるシードル「ドメーヌ・ルジュフルール」

リンゴから生まれるスパークリング果実酒のシードルは、大人の「サイダー」であるという印象が強い。でも「ドメーヌ・ルジュフルール」は新世代が伝統的な手法で造る本格派。パリの三つ星レストランにオンリストされているその実力とは。

 

祖父のドメーヌを復活させたブノワ・ルジュフルール

「ドメーヌ・ルジュフルール」は、シードルの本場であるフランスのノルマンディー地方ペイ・ドージュにある。20世紀からリンゴを栽培する農場をブノワの祖父が1962年に継承し、30年に亘り高品質なシードルを生産していたが1990年代に引退。ブノワの父の代になるとリンゴは大手シードルメーカーへ販売し、シードル造りは自家消費用のみになったようだ。

一方でブノワは、学生時代にシードル造りを学ぶとともにビジネスの学位を取得した。また、パリで星付きのレストランやワインショップへ、ドメーヌ・ラファルジュやアンリ・ジェルマン、シャンパーニュ・タルランなどを販売するワイン商としての顔を持つ。ブノワは2012年に満を辞して独立し2013年にブランドを立ち上げた。

ワイン商として培った人脈を生かし、パリのアルページュなどの三つ星はじめガストロノミックなレストラン向けとして流通させ、ワインショップでなかなか手に入らない逸品だと言われ、2021年に開催された “Cidr’Expo” でも注目を浴びた、との記述もある。

2012年の初ヴィンテージではわずか600本であったが、今では15,000本の生産量となり、徐々に輸出も開始し日本にも上陸した。

 

ノルマンディーの伝統的な造りで、テロワールを映し出すシードルを

最近頻繁に見かけるシードルは、フレッシュ&フルーティーで甘くて軽くて飲みやすい。しかし、甘味と酸とタンニンにより複雑性ある味わいに仕上げるのがノルマンディー風シードルで、じっくり上質の料理と楽しみたい本格的な味わいだ。

ワイン販売も経験しているブノワは、シードルでも品質が高くテロワールを表現したいと考えていると言う。そのために、例えば栽培はオーガニックを採用し(現在認証取得準備中)、収穫も手摘みで行っている。また、伝統的なデフェカッション製法(キーヴィング製法)の後、オリ引きを3〜4回行い、野生酵母での発酵で瓶内2次発酵もアンセストラル。つまりリンゴのペットナットというわけだ。そして、添加物はほんの少量の亜硫酸のみ。

デフェカッション製法とは、圧搾したばかりの果汁に塩化カルシウムを加えることでゲル化したペクチンが浮き上がり「茶色い帽子(シャポー・ブリュン)」を形成する。それを取り除くと透明の黄金色の果汁が得られ、その果汁は酵母や栄養素が少ないためゆっくりと発酵する。そのため、複数の野生酵母が複雑な味わいを醸し出す、ほどよい甘味を残し低めのアルコール度数で穏やかな泡のシードルが得られる。

だから、伝統的なスタイルのシードルは、ボディーがあり複雑で独特のテクスチャーを有している。

 

祖父の畑「フリアルデル」、父の畑「ラ・フォルティエール」

ルジュフルールの約20haの敷地は2つに分かれている。

「ラ・フォルティエール2017」La Folletière

父が1996年に植樹した「ラ・フォルティエール」は12haあり、15種類以上のリンゴが低い仕立てで。土壌は表土がシルトとシレックス、下層が粘土とシレックス、母岩はチョーク。

この畑からはスタンダードのキュヴェを造っている。ワインで言えば「村名」キュヴェ。ティラージュは2018年1月24日、デゴルジュマンは2020年9月28日。リンゴはビター品種25%、スウィートビター品種50%、シャープ(ビターシャープ)品種25%の構成で、具体名は裏ラベルにいくつか記載されている。

試飲すると、トーストやナッツ、熟した桃のような複雑な香りで、蜜のような果実の甘味にほどよいフレッシュな酸、そしてほんのりとした収斂性が感じられる。バランス良く、アペリティフやアフタヌーンティーでも良さそうだが、ハムやチーズ、あるいはナッツ、ドライフルーツなどのおつまみがあるとより美味しさが増しそうだ。

「フリアルデル2017」Friardel

祖父が1965年に植樹した「フリアルデル」は6〜7ha あり、30〜35種類のリンゴが高枝で仕立てられている。土壌は表土がシルトとシレックス、下層が粘土とシレックス、母岩はチョーク。

こちらはひとつ上級のキュヴェ。ティラージュは2018年1月6日、デゴルジュマンは2020年9月28日。リンゴはビター品種25%、スウィートビター品種50%、シャープ(ビターシャープ)品種25%の構成で、具体名は裏ラベルにいくつか記載されている。

試飲すると、こちらはさらに複雑性があり大人っぽい。オレンジキャラメルやオランジェットのようなニュアンス、アップルパイのような香ばしさも感じられ、甘味は控えめで酸とタンニンにより味わいに広がりが出て、余韻も長くなる。上質の生ハムやパテ・ド・カンパーニュ、リエットなどが食べたくなる味わい。

 

ちなみに、AOC Pays d’Augeを名乗れる場所にあるけれど、AOC規定よりもシャープAciduleés/Aigrersな品種を多く使っているためラベルには記せないとのこと。

最近はローアルコールを望む人も増えているから、アルコール度数5%の上級シードルは十分な需要がありそうだ。(Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

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https://www.instagram.com/domainelesuffleur/

 

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