ガンベロロッソ&テヌーテ・ルビーノによるペアリングディナー プーリアの土着品種、ススマニエッロの魅力を炙り出す

スパークリングからロゼ、ステンレスタンクや樽など醸造の異なる赤ワインまで、ススマニエッロを用いたワインのみ7種で構成されたペアリングディナー。「世界のトップ・イタリアンレストラン」東京版最新号の高級料理店部門で2フォークを獲得した南青山のエトルスキで開催された。

 

「テヌーテ・ルビーノは、プーリア州で最もトレビッキエーリを取っているワイナリーのひとつ。オーナーのルイージ・ルビーノはススマニエッロを復活させ、その存在を世界に知らしめた若き立役者だ」とガンベロロッソCEOのルイジ・サレルノ氏が述べた。

ススマニエッロは、当主のルイージ・ルビーノ氏が1990年代に農園を引き継ぐ際、農園支配人すら名の分からない放置されていた樹齢70年のブドウだった。最初の数年は収量が多いが、その後急激に落ちることから、質より量の時代には絶滅しかけていた品種だ。ルイージ氏は99年、2000年と造ってみたがうまくいかず、初ヴィンテージは2001年。プーリアでは珍しく晩熟で、胡椒のようなスパイシーさとやわらかなタンニン、みずみずしくもデリケートなトーンから、食のライト化が進む近年、注目を集めるようになる。もとはサレント半島にしかない品種で、栽培面積は2haまで落ち込んだが、ブームとなった今では70haにまで広がった。テヌーテ・ルビーノでは23haの畑を所有、樹齢80年の古木もある。

ワインの解説を担当した宮嶋勲氏は「様々な表情を見せるこの品種を飲み進めると、一貫した特徴がわかってくる。これを料理と合わせるとどのように変わって行くか」とゲストの関心を喚起した。

 

 

 

 

 

1.スマレ30ロゼ2017 × アミューズ

ススマニエッロ100%の瓶内二次スパークリングワインを初めて手掛けたのがルイージ氏。チェリーやザクロのトーン、デリケートでチャーミングなスタイル。手長エビを包んだ春巻き風パスタのフリットをパリパリと噛んだ後の口内をさっぱりと洗う。30カ月熟成による調和の取れた優美さ。

 

 

 

2. オルトレメ・ロザート2021 × 富士産サーモンのマリネ

ススマニエッロのロゼもまた、ルイージ氏が初めて世に出した。アントシアニンを制御してフレッシュさを残したスタイル。鮮やかなコーラルピンクにチェリーやザクロのフレーバー、ローズペタルのヒントも。メインの鮭に添えられたビーツのピュレとザクロや柿は、華やいだ色合いだけでなく、ワインの持つ要素とも絶妙に絡み合う。

 

 

 

3. オルトレメ2019  × 青森鴨のインサラータ

ガンベロロッソの最優秀コストパフォーマンス賞を獲得。桑の実やダークチェリーの濃い果実味は、鴨の血とバルサミコを使ったソースと合う。タンニンのグリップ感は少なく優しい口当たりは、カラフルな色ごとにヴィネガーを使い分けた人参の酢漬けの味わいを一層楽しくする。

 

 

 

 

4. ジャディコ・リゼルヴァ2017 × 全粒粉のストラシナーティ、イノシシのラグーソース

このワインのみネグロアマーロ80%。ススマニエッロはタンニンが少なく色が濃いので、20%プレンドすることで、赤い色と優しさと果実味とを与える。ススマニエッロ100%より酸味も骨格もあるフルボディでプーリアらしいワイン。上に掛かっているパン粉のテクスチャーとワインのグリップ感と程よく調和。

 

 

 

ススマニエッロ100%のトップクラス、トッレ・テスタ3ヴィンテージを垂直試飲した。

5.トッレ テスタ2017

6.トッレ テスタ2016

7.トッレ テスタ2004

× 蝦夷鹿のロースト

2017年は15.5%、2016年は16%の高いアルコール度数。濃厚で、果実味たっぷりなフルボディ。2004年はピーク過ぎているかもしれないがまだ若々しさがある。バリク全盛時代だったため、今もそのニュアンスが残る。全般的にタンニンが甘く攻撃的でない。フルーティでみずみずしい魅力のあるワインは幅広い料理に合う。

この日のディナーで腕を振るったのは、プーリアの1ツ星レストランで研鑽を積んだ経験を持つ前田拓也シェフ。アペリティーヴォでは、瓶内二次発酵42ヵ月以上のロゼスパークリング、スマレ42(写真左)のスパイシーな芳香と骨格のある華やかな味わい、パッケージのイメージに合わせた様々なバイツを用意。シーフードなどの他に野菜を多用し、ホウレンソウやパースニップやトマトのマカロン、どら焼きの生地にフォワグラなど、味も見た目も個性あふれるラインナップ(写真中央)。ペアリングディナーコースのドルチェにはリコッタのクレマとフィオルディラッテのジェラート(冒頭画像)に続き、カフェの焼き菓子(写真右)まで目と口を楽しませた。

(Saori Kondo)

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