- 2022-3-4
- Wines, オーストラリア Australia

「ジャイアント・ステップ」は、フィル・セクストン氏がシャルドネとピノ・ノワールの適地を求めて辿り着いた、ビクトリア州のヤラ・ヴァレーにある。醸造家のスティーブ・フラムスティード氏が加わり、2002年に創業。アップダウンのある丘陵地帯に6つの畑を所有している。単一畑キュヴェのオーストラリアでの先駆者としても知られている。
およそシャルドネとピノ・ノワールに特化しており、それぞれの畑の個性を尊重し、素材の良さをそのまま映すように造りはほぼ同じにしている。試飲した2020年を中心に紹介する。
シャルドネの醸造
手摘みしたブドウを全房プレス。500ℓのフレンチオーク樽で、野生酵母で発酵。熟成はフレンチオーク樽で10か月、うち新樽は20%。最初の2か月間はバトナージュを行う。醸造工程全体がグラヴィティーフローで行われ、フィルターと清澄は最小限のみ。
テラフォード・ヴィンヤード シャルドネ2020
2020 Tarraford Vineyard Chardonnay \5,500+tax
標高100mの畑。北、南東向き斜面。
シャルドネの中で最も新世界っぽさが感じられたキュヴェ。バニラや熟した白い果実、ほのかにトロピカルなニュアンスも感じる香り。なめらかで厚みもあり、酸がとてもフレッシュで余韻はミネラリー。テクスチャーがとても綺麗。
セクストン・ヴィンヤード シャルドネ2020
2020 Sexton Vineyard Chardonnay \5,500+tax
標高130〜210mの畑。北向き斜面。
バランスが素晴らしい。より華やかな香りで、熟した果実が感じられるがトロピカルな要素はない。全体にタイトなボディだが、シームレスでボディと酸のバランス、テクスチャーが合間ってとても心地よい口当たり。
アップルジャック・ヴィンヤード シャルドネ2020
2020 Applejack Vineyard Chardonnay \5,900+tax
標高220〜320mの畑。東向き斜面。
ミネラル優勢で挑戦的なキュヴェ。香りはまだ閉じ気味ながら奥深そう。しなやかなアタックで、酸もミネラルもしっかりした芯の強い味わいで、余韻に出汁のようなニュアンスも。数年後が楽しみ。
ヤラ・ヴァレー シャルドネ2021
2021 Yarra Valley Chardonnay \4,200+tax
5つの畑のブレンド。
まとまりがよく温度が上がると香りが華やぐ。フレッシュな洋梨や蜜、トロピカルな要素も感じられる華やかな香り。全体的にしなやかで、ボリューミーというよりはタイト。酸がとても綺麗でジューシー。今でも飲み始められる。
ピノ・ノワールの醸造
手摘みしたブドウを、25〜40%(115、D2V5、D5V16)は全房にて、残り(MV6、Pommard)は除梗して、野生酵母で発酵。発酵槽は小さな木製発酵槽とステンレスタンク。少しピジャージュを施し、MC。その後、228ℓのフレンチオーク樽で10か月ほど熟成。うち25%が新樽。グラヴィティーフローで行い、無清澄、無濾過。
セクストン・ヴィンヤード ピノ・ノワール2020
2020 Sexton Vineyard Pinot Noir \5,900+tax
標高130〜210mの畑。北向き斜面。
とても上品なキュヴェ。ピュアな赤い果実のしなやかな香り。アタックもしっとりして、酸もタンニンも包まれている。大変木目細やかで、エレガント。今でも飲み始められる。
アップルジャック・ヴィンヤード ピノ・ノワール2020
2020 Applejack Vineyard Pinot Noir \5,900+tax
標高300mの畑。東向き斜面。
よりタイトで涼しげな表情。香りは閉じ気味ながら、プラアルファの複雑性が感じられる。酸もタンニンも少し増し、冷涼さが感じられる。数年待ってからでも良さそう。
プリマヴェーラ・ヴィンヤード ピノ・ノワール2020
2020 Primavera Vineyard Pinot Noir 5,900+tax
標高230mの畑。北と北東向き斜面。
華やかさと複雑性のあるキュヴェ。なめらかなアタックで厚みがあり、タンニンの木目が細やか。口中でも複雑性、職人の手触り感を思わせるニュアンスがある。
ヤラ・ヴァレー ピノ・ノワール2021
2021 Yarra Valley Pinot Noir \4,200+tax
6つの畑のブレンド。
今からでも楽しめるエレガントな姿。赤い果実となめし革を思わせる優しい香り。しっとりとしたテクスチャー。バランスよくエレガントでチャーミング。
ファタール・ショア ピノ・ノワール2020
2020 Fatal Shore Pinot Noir (\6,800+tax 未輸入・参考品)
タスマニアのコールリバーヴァレーの畑。北東向き。
ブラインド試飲なら産地を迷うはず。色が濃く、香りは複雑で大変魅力的! そして、アタックは優しく、綺麗な酸ときめ細かで豊かなタンニンを包み込んでいる。テクスチャーの美しいこと!
2020年は、発芽と開花が例年より2週間遅く、収穫は2月25日に始まり4月21日までの長い収穫期になったという。房の数は同じでも、サイズがとても小さかったとのこと。
2021年は、畑の位置により異なるパターンの天候だったという。標高の低い畑の成熟度が素晴らしく、反対に標高の高い畑はエレガントで香りに秀でたヴィンテージ。つまり、単一畑キュヴェはさらに個性的な出来になったと予想される。2021年の単一キュヴェのリリースもまた楽しみだ。
今後さらにブルゴーニュが高騰することを考えれば、今のうちにこのような生産者を抑えておくのも得策だと感じた。
(Y. Nagoshi)
輸入元:GRN
https://grncorp.co.jp/winery/australia/giantsteps.html
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