デュヴァル・ルロワのファム・ド・シャンパーニュ ブリュット・グラン・クリュ

「ファム・ド・シャンパーニュ」。シャンパーニュの女性、という名前のキュヴェが生まれたのは1990年のこと。シャンパーニュ地方の中でも、シャルドネの聖地とされるコート・デ・ブランに拠点を置くメゾン、デュヴァル・ルロワのフラッグシップとして知られる銘柄だ。

 

デュヴァル・ルロワのメゾンはコート・デ・ブランの南端、ヴェルテュスにある。自社畑をコート・デ・ブランとモンターニュ・ド・ランスに200haも所有していて、この「ファム・ド・シャンパーニュ」はすべてグラン・クリュのブドウを使用している。

メゾンの5代目に当たるジャン=シャルルと大恋愛の末に結婚したキャロルのふたりが、素晴らしい1990年のヴィンテージに特別なキュヴェを造ると決めたという。長期熟成の必要があるため、あえて瓶口を細く設計したボトルを使うことにした。ただ残念なことに翌年の1991年にジャン=シャルルが他界し、キャロルはデュヴァル・ルロワの経営も子育ても女手ひとつで担うことになった。

8年の歳月が流れ、ようやくリリースの準備をすることになりキャロルは名前を決めなければならなかった。1911年に3代目が生み出したメゾン初のプレステージ・キュヴェの「フルール・ド・シャンパーニュ」の名前に共鳴するものが良いと考えていた。だから、”F”で始まる名称を見つけるために毎日辞書を引き続けたそうだ。

このキュヴェは、コート・デ・ブランのグラン・クリュの最良の区画、アヴィーズ、シュイィ、ル・メニル・シュール・オジェ、アンボネイのシャルドネ主体にし、ピノ・ノワールをブレンドしている。キャロルが昨年発刊した著書「ファム・ド・シャンパーニュ」には、最初のキュヴェについてこう記されている。

「黄金色のトーン、絹のようにまろやかで丸みのある味わい、スイカズラと白い花がドライフルーツやトーストの香りと融合したアロマの複雑性を明らかにする信じられないほど繊細な泡を備えたシャンパーニュだ」。

この「個性的な理想の女性像を表現したシャンパーニュ」であるという本質をそのまま表す名前、「ファム・ド・シャンパーニュ」と命名し1999年にローンチした。

 

昨年末に、久しぶりにキャロルが来日して歓談する会が催された。相変わらず男前の女性だという印象は変わらない。今では3人の息子、ジュリアン、シャルル、ルイが右腕、左腕となって支えているそうだ。

昨年の2022年の収穫について聞くと、病気もなくとても素晴らしいヴィンテージで、とくにシャルドネの出来が良かったと言う。ただやはり収穫時期が早まっていることは気がかりの様子。「夫の時代は10月に収穫するのが当たり前。私の代になってからは9月に早まり、今では8月から始める年が増えている」と言う。

この日は、「ファム・ド・シャンパーニュ ブリュット・グラン・クリュNV」のマグナムを皆に振る舞ってくれた。2006年がベースで、2022年7月にデゴルジュマンしたものだ。トースト、ナッツ、スパイス、白い花、熟した白い果実や柑橘類などなど、華やいだ香りが印象的。そしてなめらかな口当たりとフレッシュさ、エレガントな余韻が素晴らしかった。

 

女性同士での会食に、あるいは記念日に、国際女性デーの3月8日の乾杯に、ホワイトデーの贈り物に、「ファム・ド・シャンパーニュ」を開けてみてはいかがだろうか。

(Y. Nagoshi)

輸入元:セパージュ

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