爽やかな香りと味わいの「東北魂ホワイト」 @スプリングバレーブルワリー東京

今年は春の訪れが早く桜の開花も早そうだ。コートを置いて軽装で散歩をしたくなるような陽気のもとで飲みたくなる、フレッシュ感にあふれるクラフトビールが3月初旬から数量限定で発売されている。その名は「東北魂ホワイト」。スプリングバレーブルワリー東京(以下、SVB東京)のヘッドブリュワー古川淳一さんに、その開発の経緯などを聞いた。

 

代官山にあるのに、なぜ「東北魂」なのか? それは、SVB東京が2017年から参加している「東北魂ビールプロジェクト」からの命名だった。この活動は2013年11月に始まった。東北地方のクラフトブルワリー3社が集い、「世界に通用するビール造りをするために技術研鑽し、お互いに高め合うプロジェクト」としてスタートさせ、年々仲間が増えている。年間通して複数の活動を行なっていて、毎回数は異なるが今回の場合は13社が参加し、時には17社になることもあるという。

東日本大震災の後に多くの支援や応援を受けたため、その恩返しをしたいとの思いが根底にある。普段はライバル同士である東北のブルワーが、互いの技術を出し合い、品質が高くおいしいビール造りを追求している。他社と技術情報をオープンにし合うのは、「本当に稀なこと」だと古川さんも言う。

 

今回の「東北魂ホワイト」は、2022年11月に宮城県イシノマキホップワークスで醸造した「ベルジャンホワイト」のレシピによるものだ。13社が、原材料も使用量も製造プログラムも同じくして造る。そして、参加各社が集合して飲み比べを行う。また、キリンビール仙台工場で成分分析も行う。SVB東京はこのプロジェクトに参加し始めてから数年間で、スマッシュペールエールや春霞IPA、東北魂IPAなどを醸造したと言う。同じレシピでも、そんなに味が異なるものなのだろうか。

「違いがあります。その違いが何から出てくるのか原因を究明すれば、改善に導くことができます」と、古川さん。もともと技術者同士の研鑽のための活動だが、それが最終的に消費者へ還元されるというわけだ。

 

さて、「ベルジャンホワイトは」ホワイトビールと呼ばれるビール類の中で、最も代表的なビアスタイルだ。

「ホワイトビールは小麦を使うので、フルーティーで口当たりが柔らかく、苦味が少ないのが特徴です。中でもベルジャンホワイトは、専用のイーストを使用し、伝統的にオレンジピールとコリアンダーを使うため、爽やかでスパイシーな香りがずっと継続します」。

ちょうど「東北魂ホワイト」の発売日だった3月3日に、日本で開催されるビールの3大コンペティションのひとつ「JAPAN BREWERS CUP 2023」が行われ、“小麦系部門:Wheat category” で第2位にランキングされたそうだ(祝!)。

味見をさせてもらうと、確かに清涼感にあふれていてスッキリとしている。フルーティーでソフトであるとともに繊細な味わいで、柑橘類やスパイスの香りが鼻にスーッと抜けていく。なるほど、これが王道の味! ちょうど花粉症で悩まされる春、リフレッシュするのに最適な一杯ではないだろうか!?

 

<古川先生に聞いたオマケの話>

ビールに詳しい方たちはすでにご存知のことだろうが、ベルギービールはスパイスを使うことが多く、それはベルギーではあまりホップが採れなかったからなのだと言う。ホップが登場する13世紀以前には、複数のスパイスやハーブを使ったグルートGruutと呼ばれる飲料を造っていた。スパイスもホップも、アルコール度数が低めでpHが高いアルコール飲料にとって、抗菌作用があり日持ちさせるのに重要な役割を果たしているのだと言う。ちなみに、ホップが主流になったのは、スパイスは複数を組み合わせなければならないけれど、ホップは抗菌作用が最も強く、それだけで十分な役割を果たすとわかったから。そして、ドイツが「ビール純粋令」を発布して「ビール」は「大麦、ホップ、水」のみを用いて醸造するとの法律を制定したから。

ホップやスパイスは香りや味わいのために使っているのだとばかり思っていたが、そもそもそういうことなのね、と目から鱗が落ちました。こういった歴史や東北のブリュワーたちの情熱にも思いを馳せながら飲むのも良いですね。(Y. Nagoshi)

#springvalleybrewery

スプリングバレーブルワリー東京

今回の東北魂ビールプロジェクト12社の12本セット(瓶詰めしないSVB東京を除く12社)が購入できるサイト 限定100セット

 

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