ド・モンティーユ&北海道 2020 「學 Etude」

毎年北海道でのワイン造りが熱さを増しています。そのなかでも函館の「ド・モンティーユ&北海道」の注目度は比類ありません。ピノ・ノワールの本家とも言えるフランスのブルゴーニュからの進出であることもその理由のひとつながら、2018年の初リリースから年々進化を遂げている様子、そして今年より自社ワイナリーでの醸造が始まることなどがワイン好きの期待感を止められないからです。

すでに完売してしまったようだが、今年発売の2020年ヴィンテージの「學 Etude」についてお知らせします。

 

函館の街を俯瞰できる小高い丘にあるブドウ畑。2022年9月撮影。

2018年から2022年ヴィンテージまで

エティエンヌ・ド・モンティーユさんが北海道に惚れ込み2016年に始まったこのプロジェクト。まずはブドウ畑とワイナリーのための場所を探し、函館市桔梗町の小高い丘の上に決まりました。標高200〜250mにある見晴らしの良い場所で、敷地面積は38haもあります。今のところ(2022年9月現在)ブドウ畑は10haですが、2030年には30haまで拡大する予定です。

2019年からブドウの植樹を開始。ブドウ品種はブルゴーニュと同じピノ・ノワールとシャルドネだけです。でもすぐには収穫できないので2018年から2022年までは、同じ北海道の余市町のいくつかの農園からブドウを購入してのワイン造りを行っています。醸造は、岩見沢町にある「10Rワイナリー」にて、ブルース・ガットラヴさんに委託。現在ワインは3種類あり、白ワインは「ケルナー」、赤ワインは「ツヴァイゲルト」と「ピノ・ノワール」。

2018年から2022年ヴィンテージまでの5年間は、ブルゴーニュのボーヌ在住の日本人書道家による漢字がそれぞれ描かれたラベルです。お初の2018年は「豪 Oser」と命名。前例のない挑戦への大胆さと意欲を表した言葉です。2番目の2019年は「驚 Surprise」。このプロジェクトを始めてから遭遇した多くの驚きや不思議を表すとともに、このヴィンテージのブドウの熟度の高さへの驚きも表現しています。そして3番目となる2020年は「學 Etude」となり、新天地で得られたさまざまな学びをワインに反映できたのだとわかります。ちなみに、あと2つの漢字もすでに選ばれていてそのうちのひとつは「望」なのだとか。

さて2020年は、積算温度は十分にありながら8月に雨が多く降ったため、ブドウの選別がとても大変だったようです。しかも、例年ならブルゴーニュからエティエンヌさんが来日して現場に立ち会うところ、2020年と2021年は来日ならず、収穫や醸造についてもリモートでのやりとりとなったようです。しかしそれまで何年もエティエンヌさんとともに仕事をしてきた面々が揃っていますから、ブドウの熟度を確認するために糖度・酸度・pHといった分析値だけではなく、種や梗、あるいはブドウを食べた時の食感などがどうか、多くの確認をしながら進めていったと言います。

 

2020年「學 Etude」

ジェネラル・マネージャーの矢野映さん。

ジェネラル・マネージャーの矢野映さんが、今春2020年のサンプルを持って東京へきてくださいました(皆さんへのお知らせが遅くなって申し訳ありません!)。このラベルに描かれたニセコの雪山の写真も見せてもらいました。2020年もさすがの仕上がりです!

「ケルナー2020」ケルナーらしいアロマティックな香りで、白い小さな花や白い果実、青リンゴのような清涼感。味わいもとても爽やかで、新鮮な果実をかじったような印象。フレッシュな余韻が心地よく、またもうひと口飲みたくなります。

「ツヴァイゲルト2020」スパイシーな香りで、赤い果実やチェリー、小さな赤い花を思わせ、時間とともに華やかに変化します。しなやかでフレッシュな酸がジューシー味わいを形成し、上品なテクスチャー。生き生きとしていて、口中でもスパイシーさが広がります。

「ピノ・ノワール2020」優しくフローラルで魅惑的な香りです。赤い果実や花、そしてほのかなスパイシーさも感じられ、今後の発展が楽しみです。味わいもエレガントで優しく、酸がとても綺麗で伸びがあり、果実味と酸と細やかなタンニンのバランスが絶妙。終始上品で背筋がピンと伸びた美しい立ち姿です。

ツヴァイゲルトだけはブドウの購入は2022年までの約束のようなので、あと2回だけ。おそらく来年お披露目される2021年も待ち遠しいですね。

昨年秋。地鎮祭の準備中。

 

今年の2023年ヴィンテージから

じつは昨年の秋にド・モンティーユの畑を訪問させていただきました。ちょうど訪問した数日後にここで地鎮祭が行われるとジェネラル・マネージャーの矢野映さんから聞きました。広さ2haものワイナリーの建設が始まったのです。今年の秋にはその第一期分が完成予定なので、2023年の収穫から自社のワイナリーで醸造されることになります。ブドウも自社畑のものが使われます。ようやく本格始動。ますます楽しみでなりません。

そしてワイナリーの中には試飲コーナーも開設されるとのこと。函館市と連携して「グリーンツーリズム」の新たな観光スポットとする計画もあるようです。函館の街からも近いので、函館観光の際にはほんのちょっと足を伸ばして美味なるワインに舌鼓を打つのも良いですね。

5つの漢字のシリーズが終わった後の新ラベルも楽しみです。

(Y. Nagoshi)

「ド・モンティーユ&北海道」

<補足>

「ケルナー2020」ブドウはAki-Nouen産。平均樹齢27年。収穫は手摘み。補糖・補酸:なし。アルコール度数12%。100%MLF。45%ステンレスタンク、55%ドゥミ・ミュイで14か月熟成。無清澄・無濾過。

「ツヴァイゲルト2020」ブドウは小西農園、Coco10R産。収穫は手摘み。補糖・補酸:なし。アルコール度数12%。ステンレスタンクで14か月熟成。無清澄・無濾過。

「ピノ・ノワール2020」ブドウは木村農園産。収穫は手摘み。補糖・補酸:なし。65%全房発酵。自然酵母。アルコール度数12.5%。旧樽にて16か月熟成。無清澄・無濾過。

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