いま華開く「ドゥラモット ブラン・ド・ブラン2007」 〜収穫年から10年ほど経過して醸し出される新たな魅力〜

「ドゥラモット」のブラン・ド・ブランのヴィンテージは、現行2007年だ。2014年11月頃にリリースが開始され、当時はまだ若々しさがみなぎりフレッシュ感を大いに楽しめた。あれから2年が経過し、今度は複雑性が現れ始め別の側面を見ることができる。

 

「ドゥラモット」は、「サロン」の弟分的存在として知られているが、その性格は随分異なる。「サロン」は、「いつ飲み頃がくるのか計り難い」と言われるが、「ドゥラモット ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ」の場合にはおよそ同じような曲線をたどっていくと、長年扱ってきたベテランソムリエ陣から聞いたことがある。

 

2007d「ドゥラモット」のブラン・ド・ブランの「ヴィンテージ」は、「ノン・ヴィンテージ」と同様にコート・デ・ブランの特級のシャルドネだけを用いている。ル・メニル・シュール・オジェ、オジェ、アヴィーズのシャルドネが核となる。ヴィンテージの場合には、それにクラマンが加わり3:3:3:1の割合でブレンドされ、瓶内熟成期間も3年以上長い7年以上だ。つまり、クラマンを加えることでより長寿な性質となる。

 

収穫年から7年ほど経過したリリース時には、当然飲み頃が始まっている。しかし、それからさらに5、6年はその熟成による変化を楽しむことができる。冷えた状態でももちろん満足感は高いのだが、少し高めの温度帯で、グラスの中でゆっくりと開いてくるのを待つのもまた一興だ。むしろ、それが「ドゥラモット ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ」の醍醐味なのかもしれない。

そろそろ新ヴィンテージに切り替わる可能性もあるから、少し熟成感が出てきた複雑性とまろやかさを味わいたいと思ったら、今2007年を手にするのがちょうどよい。

2007年は、春先から温かく成長が早めに進行し、アルコール度数と酸のバランスのとれたヴィンテージとなり、やわらかさがひとつの特徴といえるヴィンテージだった。熟した黄色い果実や白い花、蜂蜜に加え、トースト、ナッツ、スパイスも加わり円熟した様子が醸し出されてきている。

 

<2016年のドゥラモットの収穫は?>

2016年のシャンパーニュの収穫についての情報が、いくつか入ってきている。南のオーヴあたりは、ブルゴーニュのシャブリと同様に春の霜害で多くの被害が出ている。しかし、モンターニュ・ド・ランスのピノ・ノワールをメインとするメゾンは、素晴らしいヴィンテージだと語っていた。コート・デ・ブランのシャルドネだけで造るレコルタンは、冴えない顔をしていた。

葡萄の供給先により、ずいぶんと格差のある収穫年となったようだ。

ドゥラモットも、やはりコート・デ・ブランのシャルドネだけから造られる。気になる2016年について、シャンパーニュ・サロンとドゥラモットのCEOであるディディエ・ドゥポン氏にコメントをいただいた。

「2016年は不安の多い一年だった。春から夏の始まりまで大変湿度が高く、夏の終わりは高温で乾燥した。その結果、ピノ・ノワールは十分に成熟した。一方で、ピノ・ノワールに比べシャルドネについては満足のいく成熟を得られるまでに時間を要した。よって、サロン/ドゥラモットでは毎年行っていることだが、今年の収穫ではよりしっかりした選別が必要となった」。

あまり芳しくはなさそうだ。サロン/ドゥラモットにとって質・量ともに平均的な年という位置づけで、サロンの生産はなく、ドゥラモットのヴィンテージについては未定のようだ。(Y. Nagoshi)

輸入元:ラックコーポレーション

 

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