インタビュー/大橋健一MWに日本の飲食店について聞く

ここしばらく業務店に「活気がない」と言われているが、実際はどうなのか、あるいは活性化する妙案があるだろうか。日本のみならず、海外で仕事をすることも多く、世界のワイン市場を観ている大橋健一MWに、日本のワインマーケット、特に飲食店について感じていることを聞いた。

 

<日本の飲食店のワインリストについて>

世界中を飛び回るマスター・オブ・ワイン(以下MW)やマスター・ソムリエ(同 MS)から見ると、日本の飲食店のワインリストは「少し偏っていると映る」、「フレンチ偏重だ」と言われ続けた。

その反面、ありとあらゆるスタイルの店があり、中華もイタリアンもフレンチも、もちろん和食も含め、どれも水準が高く美味しい。日本の文化も素晴らしいと感じてくれている。だからこそ余計に、世界中のワインを俯瞰しているMWやMSは、日本のフレンチ思考の強さを少々残念に感じているようだ。

例えばナパ・ヴァレーへ行けば、ナパ生まれのワインの品揃えがリストの大半を占めているのは当たり前だ。「日本の場合にはどちらかといえばまだワイン産地というよりもワイン消費国なのだから、好き勝手に各国のワインを載せればいいのに」と言われたり、「どうして和食の店で日本ワインを置かないのか?」と聞かれたり。

でも、そう言われるまで自分自身も気がつかなかった。その後、様々な国へ行くたびに、ワインリストを見る視点が変わった。ワインリストの構成やあり方を意識的に見るようになった。

確かに、ナパに行けばナパ、ギリシャに行けばギリシャのワインでいっぱいだ。ただ、ワイン消費が主体となるロンドンやニューヨークでは、ワインリストは多国籍だ。イギリスの場合はたとえ田舎でも、マルベックもピノグリージョもあり、各国の銘柄が揃っている。シドニーは、自国のオーストラリアがメインだが、それでも各国のワインが多数ある。日本では、葡萄品種の種類もそれほど多くは揃っていないのではないだろうか。(Y. Nagoshi)

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