デュヴァル=ルロワ Duval-Leroy 女性の感性も生かしたガストロノミーのためのシャンパーニュ

ワインでもシャンパーニュでも、家族経営の場合には当主の色が反映される。デュヴァル=ルロワはまず創業者の意志があり、そこに料理好きで知られる女性当主キャロル・デュヴァル=ルロワのテイストが加わり、女性シェフ・ド・カーヴのサンドリーヌ・ロジェット=ジャルダンが微調整を行なっている。

 

<キャロルの色>

キャロルには来日の際に会い、食に関心の高い人だと感じていたが、かつては自分でレストランを経営したいと思っていたという。ところが、夫ジャン=シャルルが1991年に他界してこのメゾンを任されることになったため、実現には至らなかった。しかし、シャンパーニュの仕事を通して、フランスでも日本でも若手ソムリエコンクールのスポンサーになるなど、レストランに従事する若い人材育成に助力している。

メゾンでは専属のシェフを雇い、訪問客をもてなす準備ができている。輸出部長のステファン・バルランが、こんな逸話も教えてくれた。「業績が思わしくない年があり、その時はボーナス代わりに卵がたっぷり支給された。でも、それがまた美味しくて」。キャロルは自園で野菜も育て、鶏は80羽も飼っているという。

シャンパーニュと同様に、素材へのこだわりが強いのだ。

例えば、デュヴァル=ルロワでは有機栽培の葡萄だけを使ったキュヴェがある。この地方での先駆けだ。CIVCの会長を務めた時には、シャンパーニュ全体の自然環境対策に多大な尽力をした。3人の息子の母でもあるキャロルは「守る」大切さを実感しているからではないだろうか。

また、ここではどのキュヴェに使うワインもコラージュをしない。

理由のひとつは、動物性食品アレルギーのある人に対応するためだ。しかしもうひとつの理由は、より細やかな泡を得るためだ。卵白でコラージュしない代わりに48時間の長いデブルバージュを行う。こうすると液体中に多くのタンパク質が残り粘性が出るため、細かい泡がゆっくりと立ち上る。平均的な6気圧だが、デュヴァル=ルロワのシャンパーニュにソフトな印象をもつのはそのためだ。25年前からこの方針を変えていない。(Y. Nagoshi)

つづき <サンドリーヌの微調整> <熟成に関する考え方> につきましてはWANDS 2017年6月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから デジタル版もできました!

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