カバ・デ・パラヘ・カリフィカード Cava de Paraje Calificado

カバの最高峰のランク「カバ・デ・パラヘ・カリフィカード」が、ようやく始動した。どうやらグラン・レセルバの上のクラスができるらしく、特別な単一畑のキュヴェだけのカテゴリーになるようだ、と耳にしてから2年ほどになるだろうか。ともあれ、認定されたのは12のパラヘ=区画/畑で、生産者は9社、カバ・デ・パラヘ・カリフィカード(以下、「パラヘ」)に認められたのは16銘柄となった。

 

昨年11月半ばにペネデスを訪問し「パラヘ」に認定された銘柄を造る9社をすべて訪問した。「パラヘ」の意義とそれぞれの特性を見出すのが目的だった。

ご存知のように、カバは「安くて美味いスパークリングワイン」というイメージが定着している。チリワインも同じ問題を抱えているが、このままではプレミアムクラスがなかなか浸透していかない。そこに危機感を覚え、一級品のカテゴリーを新たに設け、カバのイメージアップとともに上級品をアピールするのが「パラヘ」の目的だと聞いていた。ただ、予想していたよりも銘柄数が少なく、それぞれの生産本数も少量だということがわかった。プレミアムというよりはウルトラプレミアムクラス、といったところだろうか。

カバのすべてを管理するカバ原産地呼称統制委員会に話を聞くと以下のようなコメントだった。

「土地のユニークさを映し出したカバがパラヘだ。どちらかといえば、ビジネスというよりはフラッグシップのような象徴的な存在だろうか。売りはフィアットに任せてフェッラーリが象徴であるようなイメージだ」。

「加えて、造り手によるデモンストレーションも必要となる。例えば、どのような賞を今までに獲得した銘柄であるか、何点獲得したが、どこのレストランにオンリストされているか、といった要素も必要だ。だから、カバそのもののイメージアップのためでもあるが、すでに存在している高品質な銘柄をカバーするカテゴリーを設けた、という意味が強い。5ユーロのカバと50ユーロのカバの違いをはっきりさせる必要があるからだ」。

つまり、別途記した「パラヘ」の条件をクリアーするだけでなく、他者からの評価や信用を得ていることも必須となる。

また、どの銘柄も1ヴィンテージあたりの生産量が少なく、数100本のものもあった。多くの場合は数1,000本で、一番多くても10,000本強だった。本当に小さな畑だから少量しか造れないものもあるが、まだトライアルだから生産量を抑えている、というニュアンスを伺わせる造り手もいた。実際にこのカテゴリーが市場で受け入れられ、高い価格帯でも無理なく売れるようになれば、生産量を増やすところもあるだろう。加えて、まだ初期段階であるため様子を見て申請をしていない銘柄あるいは造り手、もあるようだ。

実際に売り始められてからマーケットがどのような反応を示すのかが注目される。(グラモナ教授のミニ・レッスン/酵母の自己分解の効果、9社の訪問記事へつづく)(Y. Nagoshi)

(訪問した9つのワイナリーのうち8社は、別のテーマですでに取材をしている。ワイナリーの詳細は2016年2月号&11月号を参照していただきたい)

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<カバ・デ・パラヘ・カリフィカードの定義と条件>

最高のカバを造るのに適した特別な土壌と微気候を備えた、特定のパラヘ=区画/畑で収穫されたブドウだけを使い、生産・醸造方法も以下の品質基準を満たして造られたカバ。

*厳選されたパラヘ=区画/畑

*収穫量:最大8,000kg/ha

*手摘みによる収穫

*樹齢10年以上

*自社内で醸造

*搾汁率:最大48hl/ha

*ベースワインの段階で厳選されたもの

*瓶内2次醗酵・熟成期間:36ヶ月以上

*ヴィンテージ

*ブリュット以上の辛口タイプ(ドザージュ12g/l以下)

*試飲審査に合格すること

*品質コントロールを示すマークを貼付

*ブドウ畑から販売までの一貫したトレーサビリティを確保すること

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