- 2018-3-22
- Wines, アルゼンチン Argentina
醸造所はペルドリエル(ルハン・デ・クージョ)にあり、すぐそばにシャンドンのボデガもある。いずれもフランスのLVMHがオーナーだ。
テラサスのエステート・ディレクター、エルヴェ・ビルニースコットは創業当初からエノロゴのロベルト・デ・ラ・モタ(2007年に独立)とともにこのワイナリーの基礎、テラス状になった海抜高度の異なる畑をワインに表現しようというテラサスのコンセプトを創った。ロベルトとエルヴェはモンペリエ大学の同窓で、「ロベルトと一緒に冷涼な土地を探した。初めてグアルタジャリーにシャルドネを植えたのはシャンドンだった」という。
(中略)
テラサスは創業当初、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培研究を進めた。ボルドーをはじめカベルネ・ソーヴィニヨンの産地はみな海に近いところにある。ところがメンドーサは山の中だ。ここでピラジンをどのように熟させるかがテーマだった。収穫期が近づくと毎朝、果梗の色をチェックし、食味をした。
マルベックの研究に注力したのは2000年代になってから。2012年からは土壌分析を始めた。マルベックには遺伝子レベルの異なる様々なタイプがあり、これが複雑味を生んでいると言える。だからテラサスはクローンではなくマサル・セレクションで殖やしてきた。
このボデガはもともとスペインのブルゴスから移住したソテロ・アリスが造ったもので、レンガとコンクリートでできている。レンガを積んでアーチ状にすることで屋根などの重さを支えている。もとはすべてセメントタンクだったが、いまは木製の開放タンクとステンレススティールタンクが加わっている。
とても興味深い二つの試飲が準備されていた。ひとつはラス・コンプエルタス・マルベック(標高1,067m、ルハン・デ・クージョ)のヴィンテージ比較、もう一つはマルベックのシングル・パーセル比較である。
*ラス・コンプエルタス・マルベック
<2014年> 樽由来のニュアンスがやや強い。味わいは瑞々しくてしっかり凝縮している。タンニンの滑らかさ、肌理の細かさはテラサスの特徴だ。余韻が長い。
<2015年(この年から変わった)> きれいな果実の風味、はっきりした酸味が特徴になっている。タンニンの抽出は控えめになったようだが、タンニンのクオリティに変化はない。
<2016年> 果実の瑞々しさ、適度の凝縮感、エレガントでタンニンの肌理の細かさは変わらない。フレッシュな酸味が余韻に残る。
*マルベック・シングル・パーセル比較
2016年産のマルベックのバレルサンプル。抽出の仕方など醸造法は同じ。それぞれのテロワールを忠実に表現することに努めた。木製の開放タンク2,000ℓで発酵。手でパンチダウン。ゆっくり低い温度でアルコール発酵。3週間ほど。400ℓ樽で熟成。新樽と1空き樽。
①エル・エスピニージョ(1,600m、グアルタジャリー)
ワイルドチェリー、アプリコットなど赤い果実、柑橘の香り、煙のニュアンス、瑞々しくてほんのり甘く感じる。
②セレソス(1,070m、ラス・コンプエルタス=ルハン)
スミレなどの花の香り、鉛筆の芯、チェリーなどの果実香。香りの量はやや控えめ。味わいはとても瑞々しい。
③ロス・カスタニョス(1,100m、パラヘ・アルタミラ)
赤い果実、オレガノなどのスパイス。あとから白胡椒。瑞々しい果実味とすばらしい酸味。
④リカン(1, 2 5 0 m 、チャカジェス=トゥヌジャン)
ワイルドチェリー、ブルーベリー、赤い果実の風味が支配的。少しタニックで、これが最も味わいに強さがある。 (K.Bansho)
中略した箇所はWANDS 2018年3月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから 紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!
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