シャトー・メルシャン ワイナリーツアーを刷新

メルシャンは「ワインを造る現場で訪問者にシャトー・メルシャンの価値を伝え、共感と感動を」という思いから、6 月7日にワイナリーツアーを一新した。

 

シャトー・メルシャンの松尾弘則ゼネラル・マネージャーは、「2010 年以降公開していなかったエリアを(訪問客に)見て欲しいとの思いから、英知と思いを込めてツアーを作り上げた。多くの人にツアーを体験していただき、シャトー・メルシャンのブランド価値ひいては日本ワインの素晴らしさを伝えながら、地域に貢献したい」と挨拶した。

 

渡辺隆ビジターセンター長が詳細を説明した。勝沼ワイナリーはわれわれの重要拠点だ。新たに桔梗ケ原ワイナリー(今秋)と椀子ワイナリー(2019 年秋)をオープンする予定だが、それ以降も全生産量の8割はここで醸造する。また、ここはお客さまとの接点としても重要だ。昨年は約12 万人が来場し、約6,000名がツアーに参加した。マイナーチェンジをしながら現在のツアースタイルで7年が経過した。リピーターを含め、もっと多くの人に楽しんでもらいたいと思ってツアーを刷新することにした。大橋健一MW の監修のもと、これまでの教育的なツアーではなく、「共感と感動」を基本コンセプトにシャトー・メルシャンにしかできないツアーを目指した。来場者数を増やすのではなく、来場者の満足の質を高めたい。

 

新ツアーの強化ポイントのひとつは、ツアーの定員を減らしたこと。

「スタンダードコース~体験!シャトー・メルシャン」と「プレミアムコース~探求!シャトー・メルシャン」の2 コース。

気軽に体験できるスタンダードコースの定員は10 名。醸造施設見学もできるプレミアムコースは6名。これまで20 名が主体だったツアーを少人数制にすることで、親密なコミュニケーションと対話が可能になる。

天井に設置したカメラを動かすとパネル上で醸造エリア全体をみることができる。

 

強化ポイントのふたつめは、樽庫はこれまでガラス扉越しの見学だったものを実際に庫内に入れるようにしたこと。1歩足を踏み入れるとバニラの香りに包まれる。温度18℃、湿度70%に管理された庫内の空気を感じ、嗅覚にも訴えることで鮮明に記憶に残る。プレミアムコースは見学設備を設置したことで醸造エリアも見学できるようになった。レセプション(仕込場)では、収穫時期にはブドウが果汁へと変わる場面を体感できることだろう。その後は、産地や品種で使い分けるため様々なサイズと素材のタンクが並ぶAセラー、大型のステンレスタンクが整然と並ぶB セラーへと見学は続く。

 

 

強化ポイントの三つめは、ワイナリーや資料館の説明、シャトー・メルシャンの産地紹介など情報の凝縮したパンフレットがツアー参加の特典として貰えること。両ツアー共通の見学コースに入っている祝村ヴィンヤードでは、約20種のブドウを栽培管理しており、品種、樹齢の違いや季節毎のブドウの成長を見ることができる。ツアーの締めくくりはワインギャラリーでの試飲。スタンダードコースは3種類、プレミアムコースは6種類の試飲。リーデルグラスを使うことでワインの色や香りが鮮明になる。ワインの情報は、日本語・英語対応のタブレット端末で豊富な画像とともにわかりやすく提供する。

 

新ツアーの目玉は、なんといってもプロ・ガイド集団MOG(モグ=メルシャンおもてなしガイド)である。MOGは、元ゼネラル・マネージャーで現ワイン資料館長・上野さん、ビジターセンター長・渡辺さんなど5人で構成される。それぞれエノログ、シニア・ソムリエ、ソムリエなどの資格を持ち、シャトー・メルシャンを熟知したプロ集団だ。

プレミアムコースのテイスティングに出される「甲州きいろ香・キュヴェ・ウエノ」は、通常のきいろ香と何が違うのか。MOG の上野さんに尋ねると土壌や醸造の違いをやさしく、わかりやすく説明してくれた。ブドウ畑のオーナーであり醸造家でもある上野さんならではの解説だった。まさにワイン造りのすみずみまで堪能できるコースだ。

 

大橋MWとともにこのツアーを監修した富永純子さんが、「また来たい、もう一度来たい、友人や家族にも勧めたいと思えるようなツアーを準備した。シャトー・メルシャンの造りの現場を体感しワインをじっくり味わってほしい」と締めくくった。 (K.Hosogai)

 

WANDS2018年7月8月合併号は「米国西海岸のワイン」「ボルドー・プリムール」「夏のスピリッツ」特集です。

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