レゾナンス、ジャック・ラルディエールが熱く語るオレゴンのピノ・ノワール

ルイ・ジャド、初めてブルゴーニュを出る

ジャック・ラルディエールは1970年にルイ・ジャドに入社。42年もの長きにわたり、ブルゴーニュでワインを造り続けてきた。これまで幾度も日本で彼のワイン造りの世界観を伝えてきたが、レゾナンスのワインメーカーとして来日するのは今回が初めてだ。

レゾナンスは、ルイ・ジャドがフランス国外で初めて手掛けたプロジェクト。ジャックがジャドを引退する前から、ブルゴーニュを出てどこかでピノ・ノワールを作ろうという計画はあった。オレゴンに新天地を求めた理由はふたつ。ひとつは、ジャドのアメリカのディストリビューターであり親会社のコブランドが、最初に海外進出する国としてアメリカが適正であると評価したこと。ルイ・ジャドが買収された1985年当時から同社経営者のコプフ3姉妹は穏やかなサポート体制でジャドを支え、企業として大きく発展させた優れた判断力を持っている。もうひとつは、この地が表現豊かなピノ・ノワールができる地であることを、88年にブルゴーニュからこの地に進出したドルーアンの成功例が証明していたから。

ボトル画像:左からウィラメット・ヴァレー2015年、サヴィニー・レ・ボーヌ・ルージュ2015年、レゾナンス・ヴィンヤード2014年、ジュヴレ・シャンベルタン2014年、デクヴェルト・ヴィンヤード2015年(11月発売予定)

 

まだまだ進化していく長期的プロジェクト

適地を見つけるのは容易ではなかった。幾度にもわたりオレゴンを訪問し、ついに2013年にヤムヒル・カールトンAVAのレゾナンス・ヴィンヤードに出会った。古い海洋性堆積土のウィラケンジー土壌と玄武岩のヤムヒル土壌で構成される保水性と水捌けのバランスの良い地に、自根のブドウが無灌漑で育つ。1981年の植栽から24年間、この畑を手塩に掛けて育てて来たオーナーのケヴィン・チャンバーズも、レゾナンスのブランド名を維持したまま世界的に著名な醸造家のジャックにより引き継がれることを光栄に感じていた。フランス語でレゾナンスは共鳴を意味する。続く2014年にふたつ目の畑、ダンディー・ヒルズAVAのデクヴェルト・ヴィンヤードを取得。デクヴェルトはフランス語で発見を意味する。

レゾナンス・プロジェクトの統括責任者はチボー・ガジェ。ルイ・ジャド社長ピエール・アンリ・ガジェの息子だ。ジャックはフランスに拠点を置いているため、アシスタントワインメーカーのギヨーム・ラルジュをレゾナンスに常駐させている。これまでのところはレゾナンスの元オーナー所有ワイナリーの醸造施設を使用して来たが、2016年にはレゾナンスの畑の隣に醸造所を建設するための土地を購入した。クラブメンバーになったり、テイスティングルームを訪ねたりしてワインを買うのが好きなアメリカ人のためには、魅力的なホスピタリティ施設であることが必要と考えている。チボーの息子など、若い世代に受け継いでいくような長期的な視点に立って継続して行くプロジェクトとジャックは捉えている。(Saori Kondo)

 

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