ボルドー初の日本人女性醸造家、百合草梨紗 「シャトー・ジンコ」「ジー・バイ・ユリグサ」最新ヴィンテージをお披露目

10月の晴れた日、まだ収穫の終わっていないシャトー・ジンコの畑から、百合草さんによるオンラインツアーは始まった。サンテミリオンの東、カスティヨン・コート・ド・ボルドーにある13列の畝からなる1.65haの自社畑。オーゾンヌやヴァランドローなど高級ワインを多く産する標高100mの風通し良好な台地にある。深さ1mの粘土質の表土と、その下のスポンジのように水の調整を行う石灰岩の母岩とが栽培に理想的な環境を生む。品種はメルロのみで、平均樹齢35~40年、一部は75年の古木も。畑を購入して以来、オーガニック栽培を実践、エコサート認証も取得している。テロワールと生物多様性重要視し、周囲には様々な果樹を植え、畑には一列置きに草を残して生態系バランスを取り、冬には羊飼いを呼んで除草する。わが子を安心して連れて来られる環境だ。

 

高さ1.5m、幅2.5mの特注の開放式発酵ステンタンクは、加減を見ながらパンチダウンやポンプ・オーバーなどの作業がしやすく、このお蔭で適切に旨味を引き出せる。樽内での乳酸発酵は自然に行われるのを待ち、澱引き1回、フィルターなしで手づくり感を出す。果実味とタンニンの強いフリーランは500ℓ新樽で、プレスワインは225ℓの1年使用樽で20ヶ月熟成させる。

 

ジンコはイチョウの意。ハート形の葉は、ゲーテが恋文に入れたロマンチシズムを湛えながら、広島の原爆をも生き延びた力強く神秘的な東洋の木としてフランスで知られる。これに日本人である自身を重ね合わせ、イチョウのように生命力あふれる力強いワインを作って行きたいと、次女誕生に際し、畑のそばに樹を植え、ワインにもその名を与えた。

 

サンテミリオンが好きで渡仏し、今まさに自身が造りたいワインが出来ている。ここに至るまでは葛藤があった。10年間のネゴシアンとしての経験から、このようなアルコール度数が高くて力強いワインか受け容れられるのか?という懸念を抱くこともあった。が、ヴィンテージを重ねて飲むにつれ、この醸造法で良かったという確信に変わって行った。たくさんの畑のブドウの味を見た上で、タンニンの力強さと果実味に惚れ込んで買った畑だ。このテロワールを表現したいという最初の想いは、今後も変わらず持ち続けていくつもりだ。スタイルは変えずにレベルを上げていきたい、と話す百合草さんの声は力強く、その表情は微笑みに満ちていた。

シャトー・ジンコ 2019(13,000 円)

100%メルロ。赤スグリ、キルシュ、キイチゴ、ブラックベリー。アカシアのはちみつ、ミント、セージ、トースト。抜栓して3時間経つと、咲き始めたばかりのバラ、菫、春の花の香りが開いてくる。タンニンが溶け込み、アタックが柔らかくなり複雑味が増す。ピュアな果実味はオーガニックから、複雑性はテロワールから、濃厚な余韻は低い収量に由来。この年は筋肉質な女性のイメージながら、ボリュームもあり、既に色っぽさが出ている。ジンコは60年後も楽しめるワイン。10.年でかなり香りは変わって美味しくなる筈。

 

 

ジー・バイ・ユリグサ ルージュ 2020(3,000 円)

ジンコを日常的に、カジュアルに楽しんで欲しいというコンセプトで作ったシリーズ。ジンコの近くのワイナリーと提携し、醸造監修したもの。95%メルロ、5%カベルネ・フラン。輝くルビー色、熟したダークチェリー、焼いたパン。若いながら華やかなアロマで、安心感と親しみを与える。

 

ジー・バイ・ユリグサ ブラン 2020(3,000 円)

グラーヴのワイナリーと提携し、醸造監修したもの。ソーヴィニヨン・ブラン 60%、セミヨン40%。輝きある黄色。白桃の強いアロマ、白い花のブーケ、柑橘、マンゴー、はちみつ。フレッシュでボリュームあり、余韻が長い。ボルドー飲み慣れている人からの評価も高い。

(Saori Kondo)

輸入元:都光

 

 

 

 

これまでのシャトー・ジンコの記事はこちら

「百合草梨紗 さんのシャトー・ジンコ、2019年よりオーガニック認証取得」

 

 

「シャトー・ジンコ2016年 ワインへの思いがつのりボルドーへ飛んだ百合草梨紗さんの初ヴィンテージ発売開始」

 

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