カクテルを通してブランドの真髄を探る CAMPARI

<守らなければいけないのは物事の始まりと、味の中心。>
ネグローニ×カンパリ 南雲 主于三 氏(ミクソロジー・エクスペリエンス)

日本ではあまりその名を呼ばれることが少ない「ネグローニ」だが、世界のバーではスタンダード。カンパリを使ったカクテルとしては世界では実にポピュラーな存在だ。ネグローニは大きな分類でいえばジンベースのカクテルだが、南雲さんは、「生まれてきた背景、カクテルとしてのバックボーンとすればカンパリこそが大切」という。

確かにカクテルにはなくてはならい物語を考えれば、カンパリの存在こそネグローニと言える。もともとはイタリアのアペリティフの定番「アメリカーノ」があった。「スイート・ベルモット」30ml、「カンパリ」30mlにソーダ、氷をタンブラーで。ここからアレンジとして生まれたのがネグローニ。時は1919年、フィレンツェの老舗バー。この店の常連だったカミーロ・ネグローニ伯爵が、ロンドン訪問の経験から、アメリカ―ノのソーダのかわりにロンドン・ジンを加えたものをオーダーしたのがはじまり。後に同店のバーテンダーが伯爵に許可を得て発表したものだ。

南雲さんのネグローニは、定番はもちろん、アレンジを加えたものでもカンパリを軸に組み立てられる。ツイストのアイデアとして、ジンのボダニカル、ハーブを変えてもカンパリがあれば、それはネグローニだ。例えば和の要素を含めたネグローニ。南雲さんの挑戦は、ジン×玄米茶。玄米を炒った香ばしさがもたらす今までにないロースト香が心地よい。そしてジン×ふきのとう。カンパリの爽快感を伴う甘苦さと、より滋味深い、ふきのとうが持つ自然な苦さ、ここに、ベルモットの苦味が加われば、より多層に複雑さをもって心地よい苦みが感じられる。やはりネグローニのフレイバーとテイストは甘苦さこそ大切で、その甘苦さのベースはカンパリの苦み……。

(Daiji Iwase)

 

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